NYの視点: ECB、現行の政策維持する方針、欧州各国の総選挙結果見極めへ

2016年12月23日 09:02

*09:02JST NYの視点: ECB、現行の政策維持する方針、欧州各国の総選挙結果見極めへ

欧州中央銀行(ECB)は、現行の金融政策をドイツ選挙が終了するまで維持する方針だという。メディアが関係筋の話として伝えた。前回の定例理事会で、ECBは量的緩和(QE)で購入する債券の条件を緩和。中銀の預金金利である−0.4%以下の利回りの債券の購入も可能とした。しかし、来年1月以降、預金金利の水準を下回る利回りの債券の購入を最小限にする方針。一方で、経済が悪化した場合、全ての選択肢を活用する方針だとした。一部の高官によると、ECBはQEの効果が弱まったり、新たな金融政策の変更が政治に影響を与えかねないことを意識しているようだ。

2017年はオランダを始め、ユーロ圏で最大の経済を持つドイツ、2位のフランスで総選挙の実施が予定されているほか、おそらくイタリアでも総選挙が実施される可能性がある。2016年に移民、難民と見られる過激派によるテロが相次いだフランスでは、オランド大統領の支持率が過去最低まで落ち込み大統領は出馬を断念せざるを得なくなった。また、シリアからの難民を積極的に受け入れることを欧州に呼びかけたドイツのメルケル首相も苦戦が強いられると見られており、欧州全体の政治的不透明感が混乱を招きかねない。

ECBは12月の定例理事会において、2017年に期限がくる量的緩和(QE)プログラムを12月まで延長する方針を発表。4月から資産購入規模は現行の800億ユーロから600億ユーロに減額するものの、主要諸国の総選挙をとりあえず乗り切ることになる。金融機関はユーロ・ドルがパリティ、1ユーロ=1ドルに達するとの見方を断念していない。

2017年
3月:オランダ選挙
4月:フランス 第1回目の選挙
5月:フランス 第2回目の選挙
9月:ドイツ選挙《NO》

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