トム ブラウン ニューヨーク、2017年春夏ウィメンズコレクション紹介
2016年12月22日 11:42
トム ブラウン ニューヨーク(THOM BROWNE. NEW YORK)の2017年春夏コレクションを紹介する。
トム ブラウン ニューヨークのショーはユニークだ。ファッションショーというよりはエンターテイメントに近く、ユーモラスな演出で観客をわかせる。今季の舞台はプール。ライトブルーの艶やかなタイル床には、ブランドを象徴するストライプの模様があしらわれている。
ショーの始まりは30人にも及ぶモデルたちの登場から。花柄のカフタンにスイムハットを合わせている。続いて、スーツを着用し猫に変装したメンズモデル、女神が現れると物語の始まりだ。モデルたちはプールサイドに整列し、すっとカフタンを脱ぎ捨て一斉にシーズンルックを披露する。
目に飛び込んでくる軽やかなイエロー、グリーン、ライトブルー、オレンジ。華やかな服地にはベルベットの花柄や3Dのヤシの木があしらわれ、リボンやコットンチュールが添えられている。ベースとなるのはテーラードで、ジャケットとシャツの定番コンビをはじめ、3ピースのタキシードやオーバーコートが提案されている。またカーディガンオンカーディガン+アウター、シャツオンシャツ+ベストといった具合に幾重にも重ねたレイヤードが気分のようで、複雑な構造が展開されている。
しかし目を凝らしてみると、トム ブラウン ニューヨークの罠にハマっていることにハッと気づかされる。装いは全てトロンプイユで仕上げたもので、Aラインやストレートラインのワンピースをキャンバスに、柔らかな線でそれらが縁取られている。首元に巻いたスカーフは風にたなびくように流動的に描かれ、異素材のパッチワークによって裾や袖の細かなディテールが表現されている。リネンやコットンの上にのった手織りのツイードやカシミヤニット、ミンクファーは特に布地に生命感をもたらし、あたかもそこに存在しているようなイキイキとした表情へと繋げている。