国内クラウドセキュリティ市場、15年は前年比19.1%増の66億円

2016年12月22日 09:37

 IDC Japanは、国内クラウドセキュリティ市場の2016年~2020年の予測を発表した。

 IDCでは、パブリッククラウド環境へのセキュリティ対策製品市場をクラウドセキュリティ市場と定義し、クラウドシングルサインオンとクラウドセキュリティゲートウェイ、その他クラウドセキュリティの3つの機能セグメントに分類し、市場規模算出/市場予測を行っている。

 2015年の国内クラウドセキュリティ市場は、前年比19.1%増の66億円だった。同市場の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は23.8%で、市場規模(売上額ベース)は2015年の66億円から、2020年には193億円に拡大すると予測している。同市場は、企業におけるパブリッククラウドやモバイルデバイスの利活用が進展し、ITリソースがパブリッククラウド上に展開されるケースが増加することから、パブリッククラウド上のITリソースを保護する目的としてクラウドシングルサインオンやマルウェア対策への需要が引続き高く、市場をけん引していくとIDCではみている。

 また、ITシステムはオンプレミス環境とクラウド環境の両方を組み合わせたハイブリッド環境が進展し、社内イントラネットとインターネットの境界が曖昧で境界領域を設定することが難しくなり、境界防御によるセキュリティ対策の限界が顕在化する。ハイブリッド環境では、ポリシーを一元的に管理し、ITリソースの活用状況を監視するクラウドセキュリティゲートウェイのソリューションが有効であり、急速に需要が拡大するとIDCは考えている。

 パブリッククラウドサービスやモバイルデバイスの利用拡大によって、企業の情報資産は場所や時間を問わず活用される。そして、企業が許可していないパブリッククラウドサービスに情報資産を保存することが容易にできてしまう状況にある。こうした「シャドーIT」によって、マルウェア感染や情報漏洩のセキュリティリスクが高まり、シャドーITによって引き起こされるマルウェア感染や情報漏洩などのセキュリティ脅威を防ぐ対策の重要性が増すとIDCでは予測している。

 このため、パブリッククラウド上に展開されるITリソースへのアクセスコントロールやユーザーの挙動分析、アプリケーションの稼働監視などのセキュリティ対策が必要であるとIDCではみている。

 さらに、パブリッククラウドの利用拡大によって、オンプレミスの業務システムとパブリッククラウドサービスが共存するハイブリッド環境が広がる。ハイブリッド環境は、社内イントラネットとインターネットの境界が曖昧で境界領域を設定することが難しく、境界防御によるセキュリティ対策の限界が顕在化する。

 「ハイブリッド環境では、ITリソースの活用状況を集中的に監視、管理するクラウドセキュリティゲートウェイをハブとして、オンプレミスの業務システムやクラウドサービスを利用させるセキュリティソリューションが有効である。セキュリティ製品サプライヤーは、クラウドセキュリティゲートウェイを訴求すべきである。クラウドセキュリティゲートウェイを経由してITリソースを利用することで、境界防御がなくても、すべてのITリソースの活用状況を把握でき、セキュリティ被害を防止できる」とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は述べている。(編集担当:慶尾六郎)

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