IoTベンチャー設立件数、医療・ヘルスケア分野で大幅増

2016年12月21日 09:33

市場分析を手掛けるアスタミューゼは、2006年以降に設立されたIoTベンチャー企業を抽出し、「スポーツ/教育/エンターテインメント」、「医療/ヘルスケア」、「農林水産技術」、「生産/物流/マーケティング」、「住宅」、「社会インフラ、自動車/交通」の7分野に分類、分野別傾向を分析した。06~10年から11~15年で、IoTベンチャー企業設立件数が163%となり、急増していることが明らかになった。

 分類別にみると、「医療/ヘルスケア」分野が393%と最も増加率が高く、次いで「住宅」(253%)、「農林水産技術」(243%)、「スポーツ/教育/エンターテインメント」(223%)、「自動車/交通」(194%)と続いている。ベンチャー企業設立件数の増加が特に目立った「医療/ヘルスケア」分野では、分散型医療を支える技術が注目されている。分散型医療では、ウエアラブル端末によるモニタリングなどIoTデータを活用し、患者のリスク特定や生活習慣改善に役立てる。また、遠隔診療でのカメラやセンサーの活用もこれに相当する。

 「医療/ヘルスケア」分野のベンチャーでは、今年2月に成立したヘルスケアデータ分析の提供するTruvenのIBMによる買収など、大手が大型買収によって技術を吸収するケースが目立つ。裏を返せばバイアウト以外の方法による事業の長期継続は相当難しいのが現状だ。12年にクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で当時の史上最高額を集めたスマートウォッチ「Pebble」は、製品のユニークさとクオリティの高さから200万本以上を売り上げるなど熱狂的なファンを多くつかんだ。こうしたベンチャーとしては屈指の成功にも関わらず、今年12月にFitbitによる買収が発表され、これによりすべてのPebble製品の生産終了およびサービスの縮小を発表している。

 アスタミューゼは、IoT分野の2025年時点での日本国内市場規模は約80兆円、グローバルでは約1920兆円と予測。「医療/ヘルスケア」分野においてもさらなる盛り上がりを見せると見込まれるが、ユーザーの貴重な生体データを預かるサービス周辺では特に、事業継続モデルの確立が望まれる。(編集担当:久保田雄城)

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