2015年の企業業績、リーマン・ショック前の水準に戻らず

2016年12月19日 08:45

2008年9月のリーマン・ショックから8年が経過した。世界を巻き込んだ未曽有の事態から東日本大震災、政権交代、消費増税、金融緩和などを経て、企業業績はどのように推移したのか。

 東京商工リサーチは、同社が保有する企業データベースを活用し、リーマン・ショック前の2007年度(2007年4月期~2008年3月期)から直近の2015年度(2015年4月期~2016年3月期)まで、9期連続で業績比較が可能な約36万社を抽出し、分析した。

 2007年度を100.0とした場合、全企業の売上高合計は2009年度に85.0まで低下した。2014年度は97.4に回復したが2015年度は96.2に落ち込み、リーマン・ショック前の水準に届いていないことがわかった。利益金(当期純利益)合計は2008年度に20.0へ大幅に落ち込んだが、2014年度には131.1と急回復。2015年度も126.1とリーマン・ショック前を大きく上回る水準を保ったという。

 2007年度の売上高合計、利益金合計を100.0として業績推移を比較した。上場企業の売上高合計は2009年度の80.4が底で、2015年度は90.4だった。利益金合計は2008年度の21.3を底として2015年度は120.5で、2007年度と2015年度を比較すると減収増益だった。

 非上場企業は、売上高合計は2009年度に87.5まで下落し、2015年度は99.4。利益金合計は2008年度に18.3まで落ち込んだが、2015年度は132.8へ大幅に改善した。だが、上場、非上場そろって売上高合計、利益金合計ともに2015年度は2014年度より悪化した。全企業の売上高合計は2008年度以降、一度も100.0を回復していないとしている。

 売上高合計を産業別にみると、上場では金融・保険業、小売業、情報通信業、農・林・漁・鉱業が2008年度以降のすべての決算期で100.0以上を保っている。一方、非上場ではすべての決算期で継続して100.0以上の産業はなく、企業規模による二極化が鮮明に出た格好だという。

 製造業は、上場・非上場とも2009年3月期以降、一度も100.0を上回っていない。製造拠点の海外移転、新興国の技術力向上に伴う価格競争などが影響しているとみられる。

 小売業は、上場は2008年度以降100.0を維持しているが、非上場は90ポイントに届いておらず、価格や品揃えが大手の後手に回り、内需やインバウンドの取り込みに苦戦している。

 利益金合計を産業別にみると、2008年度以降のすべての年度で継続して100.0を超えたのは上場の情報通信業だけだった。上場の農・林・漁・鉱業の2015年度は、原油安の影響で資源大手の収益環境が軒並み悪化し、2014年度の430.0から61.0へ急落した。

 建設業の2015年度は、上場が453.7、非上場が318.4と高水準を持続。東日本大震災の復興需要や東京五輪に向けた不動産投資などで需給バランスが好転し、利益率の改善に繋がった。

 非上場の小売業、製造業は、売上高合計・利益金合計ともに2008年度から8期連続で100.0を下回った状態で改善の兆しがうかがえないとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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