消防庁が女性の採用を強化、注目集まる「消防女子」
2016年12月18日 18:48
総務省消防庁が女性消防士の採用を強化すべく、本年度に初めて仕事の魅力を伝える説明会を全国8都市で開催した。11月23日には札幌で職業説明会を開催。現役消防士たちが仕事の内容ややりがいなどを学生に説明。12月4日には横浜でも同様の説明会が開催され、多くの女子学生が説明に耳を傾けた。今後名古屋で11日に、京都で17日に開催される。
同庁ではイベントに併せて「女性消防吏員の活躍推進のためのポータルサイト」を立ち上げた。福利厚生やQ&Aといった採用情報の他、イベントスケジュールやレポートを公開。更には女性消防士座談会や動画コンテンツを用意。現場で活躍するカッコいい「消防女子」をふんだんな画像や動画で紹介し、女子学生へのPRに力を入れている。
一方、より地域に密着している消防団でも女性の力を活用するため、各自治体が訓練や採用活動などを強化している。神奈川県厚木市では11月15日に全国で初めて女性消防団員による県内合同訓練が開かれ、14市町村から74人の女性消防団員が参加。室内で無線を使った情報伝達や心肺蘇生法などの研修を受けた後、実践的な訓点を行なった。
長野県諏訪市では12月3日に女性消防団員研修会を開催。6市町村から100人が参加。これまでの活動状況の報告や今後の方針、意見交換会などが行われた。新潟県では女性消防団員を募集するためにPR動画を制作。地元のアイドルグループ「Negicco(ねぎっこ)」が消防団に体験入団した様子がまとめられており、県のYoutube公式チャンネルで公開されている。また消防団員を支援するため、団員とその家族が飲食店やスーパーなどで割引サービスを受けられる「にいがた消防団員サポート制度」も1日より開始している。
消防庁や各自治体が「消防女子」を増やしたいと考えている背景には、女性ならではのソフトできめ細かい対応が挙げられる。救助現場や救急搬送時に「女性消防士に対応してもらって安心した」という声が消防庁に寄せられている。また、緊急通報時にも女性の声だと通報者を落ち着かせ、情報を的確に聞き出せるという利点もある。それに加えて民間人で構成される消防団では日中は団員が会社勤めをしていてなかなか活動できないという実情から、主婦層の力を得て活性化したいという狙いもあるようだ。
これからますます活躍が期待される「消防女子」。男社会だった消防の世界で活躍する女性もどんどん増えてくるだろう。就活中の女子学生は就職先候補の1つとして選択肢に入れておくのも良いかもしれない。(編集担当:久保田雄城)