地域IoTで課題解決へ、総務省が「地域IoT実装推進ロードマップ」公表
2016年12月17日 23:44
人口減少と高齢化が進むなか、東京への一極集中が加速し地域経済の低迷を招いている。こうしたことを背景に、総務省は、IoT・ビッグデータ・AI活用で地域の課題解決を図るべく「地域IoT実装推進タスクフォース」を9月に発足。同タスクフォースにて、「地域IoT実装推進ロードマップ」が取りまとめられ、12月9日に公表された。
同ロードマップでは、地域住民がIoT実装の恩恵が感じられ高い効果・効用が見込まれる「分野別モデル」として、「教育」、「医療・介護・健康」、「農林産業」、「地域ビジネス」、「働き方」、「観光」、「防災」、「IoT基盤」の8分野を設定。2020年度までのモデル毎KPIと、具体的な工程を提示している。さらには、地域の関係者がIoT実装の意義をイメージできるような将来像や経済効果も示している。
例えば「教育」分野では、20年までのKPIを、100%の学校にてクラウド上の教材等を活用したプログラミング教育等を実施可能とすることを掲げている。これを実現するために、16年末までに学習系クラウドの標準化、17年中にプログラミング教育の地域実証、17年からは校務系・学習系クラウド連携実証・標準化を目指す。また、実装の効果としては、「教育の質的向上・格差是正、次代を担う人材の育成」を挙げ、これによる雇用創出効果を2万100人、経済効果は4100億円と試算している。
「医療・介護・健康」分野では20年までのKPIを、EHR(Erectric Health Record:生涯医療・健康情報の電子記録)の実装医療圏数を拡大し患者数人口の5%で適用することや、PHR(Personal Health Record:個人が管理する医療・健康情報の電子記録)の実装主体数を80団体、利用者数を30万人にすることを掲げている。これを実現するために、EHR高度化補助を17年中に実施、PHRのモデル研究への補助を18年中に実施し普及促進を図る。また、実装効果としては、「EHR、PHRによる健康寿命の延伸及び医療費の適正化」を挙げ、これによる雇用創出効果を9万4300人、経済効果は1兆3000億円と試算している。
地域IoTの実装により、分野別モデル全8分野でもたらされる雇用効果は44万9300人、経済効果は4兆9300億円となっており、ロードマップに沿った推進が実現できれば、地域経済の活性化にとっての起爆剤となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)