外食産業市場、15年は前年比0.5%増の33兆466億円

2016年12月17日 16:56

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、国内の外食産業市場14カテゴリー138業態の総括分析に加えて、注目外食企業の事例研究、海外における外食産業の動向、外食産業エリアマップ、138業態には含まない注目成長市場を調査した。その調査結果を報告書「外食産業マーケティング便覧 2016 No.3」にまとめた。

 2015年の外食産業市場は、テイクアウトをはじめ交通機関、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、エスニック料理が前年に続きプラス成長したほか、ホームデリバリー・ケータリング、給食、宿泊宴会場がプラスに転じたことで、2014年比0.5%増の33兆466億円となった。

 2016年はファストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、給食、西洋料理、東洋料理、エスニック料理、宿泊宴会場がプラスになると見込まれる。ハンバーガーの伸長によってプラスに転じるファストフードが、もっとも高い伸長率となる。その他、テイクアウトや西洋料理は2015年に続くプラスとなる。一方、縮小が続く料飲店が最も大幅なマイナスが見込まれるほか、近年、プラスが続いていたファミリーレストランと喫茶が一転して減少するとみられ、市場は33兆2,806億円と、微増にとどまると予想されるとしている。

 また市場成長率1位はプレミアムハンバーガーとなった。2015年に「シェイクシャック」がオープンしメディアで大きく取り上げられたことから1,000円以上の高価格帯ハンバーガーに注目が集まり、市場が急拡大し始めた。プレミアムハンバーガー市場は今後も拡大が予想される。

 2位の天丼・天ぷらは、2014年以降大幅な市場拡大が続いており、上位チェーンの新規出店が進んでいる。また、既存店も好調となっているほか、「てんや」では“ちょい飲み需要”を獲得するなど、前年に続き大幅な拡大が見込まれる。

 3位のスキー場は、2015年暖冬による深刻な雪不足から営業期間を短縮するなど施設の運営に困難が生じたことから縮小となったが、2016年は例年通りの運営に回復するほか、インバウンド需要の取り込みが進められることから市場の拡大が見込まれるとしている。

 注目成長市場(138業態には含まない)である牛タン料理専門店は2011年頃から大手外食チェーンなどが関東や関西を中心に参入しはじめたことで拡大が加速している。2015年は上位チェーンが好調のほか、ねぎしフードサービスのメディア露出による客数増加が市場拡大の追い風となった。2016年は前年に引き続き上位チェーンが積極的な新規出店を進めていることに加え、メディア露出による認知度向上といったプラス要因もあり、市場は2015年比2.6%増の659億円が見込まれるとしている。

 また、病者・高齢者食冷凍宅配は2012年に給食事業大手が参入し市場が拡大した。工場や倉庫から直接配送することができるため、調理・盛り付けや拠点となる店舗が不必要であるなど、従来の病者・高齢者食宅配と比べて採算性が高い事業となっていることから参入企業が増加している。2015年は、病者・高齢者食宅配大手が冷凍宅配サービスを開始したほか、参入各社が好調だったことから市場は2014年比12.4%増の118億円となった。今後は常温弁当を提供する病者・高齢者食宅配への新規参入が一段落したこともあり、病者・高齢者食冷凍宅配市場への新規参入が増え、市場は活性化するとみられる。(編集担当:慶尾六郎)

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