映像・ウェアラブル端末のデータ活用しトップアスリートを育成
2016年12月17日 11:18
2020年開催の東京オリンピックに向けて、スポーツにおけるICTの利活用が盛り上がりを見せている。光や映像による演出とリアルとの融合やVRといった観戦体験を豊かにする技術やスポーツ実践者のモチベーション管理に関する技術は既になじみ深いものになりつつあり、さらにはアスリートのパフォーマンス向上のためにもICTが導入され始めている。梅村学園とNTT西日本はICTを活用したトップアスリートの育成に関する基礎研究を12月1日より開始した。
NTTのメディアインテリジェンス研究所が開発中の「遅延同期ビデオフィードバック」技術では、その場で撮影した映像をトレーニング直後に確認することができる。その際、今撮影したトレーニング映像と、最も理想的なフォームを達成したときのトレーニング映像など、ストックされたものとを重ねて表示。わずかに両映像のタイミングをずらすことで、今回映像とストックされた映像でのアスリートの動きが前後に並んで表示される。これによりフォームのチェック及び比較が容易となり、改善ポイントが直後のトレーニングに反映できる。その場でのフォームの確認を繰り返すことにより、効率的なトレーニングが可能となる。同基礎研究では、最適な映像提示方法や操作方法などのノウハウを蓄積する。
ゴールドウィンが販売するウエアラブルセンサー「C3fitIN-pulse(シースリーフィットインパルス)」ではNTTと東レが開発した機能素材「hitoe(R)」を採用しており、着用するだけで心拍数や心電波形を取得できる。同技術活用でトレーニング時のバイタルデータを分析しパフォーマンスの向上に役立てることを目指す。また、基礎研究では水中競技でも「hitoe(R)」を活用してバイタルデータを計測、水中競技でのトレーニング管理や選手強化に役立つツールの開発を目指すとのこと。
これ以外でも、目視を超える採点にもICTが活用される見込み。富士通らは3Dレーザーセンサーと3Dデータ処理技術による体操競技の採点精度向上に向けて研究を進めている。オリンピック開催という起爆剤と、昨今のウェアラブルデバイスや映像処理に関する技術の向上とが相乗効果を発揮し、スポーツにおける多分野でのICT利活用が加速している。(編集担当:久保田雄城)