乳がん組織の遺伝子発現解析サービスがスタート

2016年12月15日 09:15

 乳がん罹患者数は年間9万人・死亡者は1.3万人を超え、35~64歳の女性壮年層においては死因の第1位となっており、女性における国民病ともいえる位置づけとなっている。

 一方、早期発見や罹患時の対策によっては、乳がんは他がんと比べて良好な経過が期待できる疾患でもある。例えば、5年生存率は50代女性において92.9%と、大腸がんの75.8%・胃がんの73.0%や、肺がんの43.8%に比べても高い割合となっている。

 また、乳がんは手術によりがん組織を取り除いても、手術後に再発することがあります。これは、手術前に既にがん細胞が乳房から離れて他の臓器に広がっていたためと考えられている。この手術後にも残存するがん細胞を、薬で治療し再発を防止する方法が「術後補助療法」と呼ばれるもの。適切な術後補助療法を行うことは、がんの再発防止に向けて非常に重要な位置づけとなるという。

 ゲノム・パーソナル医療の進展をサポートするG-TACは、シスメックス<6869>が開発した乳がん組織における遺伝子の発現解析受託アッセイサービス「Curebest 95GC Breast」(研究用)を、G-TACが医師向けに運営している「G-TAC パーソナル医療関連検査サービス」を通じての情報提供を開始する。

 シスメックスは、乳がんの特性を表す指標として、95種類の乳がんに関係する遺伝子がどれくらいはたらいているかを調べる多遺伝子アッセイサービス「Curebest」を提供している。今回の提携は、G-TACの保持する全国800以上のパートナー医療機関・2.3万人のパートナー医師ネットワーク、並びに専門医のフォローアップ体制を活用することで、検査をより多くの医療機関・乳がん患者に提供することを目的としている。

 Curebestは、乳がん患者において95種類の乳がん関連遺伝子が、どれくらい働いているかを調べる研究用検査サービス。500例を超える乳がん患者のがん組織を分析した結果から、これらの遺伝子の働きを測定する方法が開発された。この方法を用いて、乳がんを「H」または「L」のいずれかに分類し、分類に応じた術後補助療法を選択する一助とする。例えば、ホルモン療法のみによる術後補助療法の場合、「H」タイプの 乳がんは「L」タイプと比べて再発する割合が高かったという研究結果が報告されている。

 G-TACは、エムスリーグループのマーケティング支援リソースを活用し、当該検査の認知度向上、導入医療機関を増やすことで、販売の拡大を推進する。また、G-TACが構築する独自の「臨床遺伝専門医」のネットワークを活用し、検査受検前の相談から受検後のフォローアップまで、一貫した相談体制を構築する方針だ。(編集担当:慶尾六郎)

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