自治体で方針が分かれる民泊、対応に試行錯誤

2016年12月13日 11:38

 従来の旅館やホテルと異なり、一般の住宅を宿泊施設として旅行者に提供する、新しい宿泊サービス「民泊」。空き部屋、空き家の有効活用や宿泊施設の不足を補い、旅行者にとっては格安で泊まれるというメリットもある一方で、騒音やゴミ問題あるいは犯罪といったトラブルも発生しており、近隣住民から苦情が入るケースもある。一長一短ある民泊の対応は自治体によって様々だ。

 福岡市では12月1日に改正旅館業法施行条例を施行。同日に早速2県営業許可申請があったほか、22件の相談があったという。共同住宅での民泊を許可するもので、条件付きではあるがこれまで必要とされていたフロントも不要となった。民泊への規制を緩和し、参入を促進。外国人観光客の増加に伴う宿泊施設不足を緩和する狙いがある。トラブルを防ぐために、「10分以内に駆けつけられる範囲に管理事務所を置くこと」、「部屋の出入り口に監視カメラを設置すること」、「業者名や連絡先を掲示し、苦情があれば対処すること」といった条件も今回追加された。

 一方で観光地として人気が高い京都市では、民泊によるトラブルが相次ぎ、規制を強化する動きがあった。1日より宿泊業者に対する指導要綱を運用。「民泊開業前の近隣住民への周知」、「利用客に防止を求める迷惑行為の詳細を定めること」、「必要に応じて立ち入り調査を行うことを定め、指導に従わない場合は刑事告発する」という厳しい態度で臨んでいる。国の方針では民泊の規制緩和を目指しているが、同市は営業場所や日数などを自治体が独自に規制できるよう厚生労働省に要望を出している。

 宿泊施設不足や空き部屋、空き家の有効活用が期待される民泊。今後東京オリンピックも控え、ますます需要が増えることが考えられるが、やはり住民の立場からすると近隣で知らない旅行者が歩き回り、騒音やゴミ問題などのトラブルを起こされるのは良い気分ではない。観光地としていち早く民泊が普及した京都市は実際にそういった問題点を抱えている立場だからこそ、規制を強化する姿勢をとっている。やはりある程度の規制を設け、管理が行き届いていない民泊が無尽蔵に増えるという事態は避けて欲しいものだ。(編集担当:久保田雄城)

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