国際会議WCPFC、クロマグロ漁獲を巡り日本に激しい非難
2016年12月12日 12:18
5日から9日にかけ、フィジー共和国ナンディにて、国際会議WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)が開催された。その席上にて、日本が激しい国際的非難を浴びる一幕があったという。クロマグロの漁獲について、同種が絶滅危惧種に指定され深刻な状況にあるにも関わらず、日本が規制の強化を拒んでいる、というのがその理由だ。
クロマグロが「レッドリスト」において絶滅危惧種に指定されたのは2014年のことだ。レッドリストというのは、IUCN(国際自然保護連合)という科学団体が作成しているもので、これ自体に法的拘束力はないのだが、ワシントン条約の参考資料に用いられるなど高い権威性を持つ。
より詳しく言うと、現在、レッドリストにおいてクロマグロは絶滅危惧Ⅱ類、絶滅の危険性が高い方から数えて4番目(既に絶滅したと推定される種に与えられるカテゴリを除く)に位置付けられている。当然、保護が必要とされる水準である。IUCNは、2014年の指定に際して、単に漁獲量を制限するだけでなく海洋保護区を設置することが必要である、と日本をはじめとする世界各国に勧告している。
それで、2014年から今まで、日本は何をしてきたのか。識者によれば、はっきりと言ってしまえば「何もしてこなかった」というのが実情であるという。
そもそもフィジーで開かれたWCPFCは「本会議」である。WCPFCには「北小委員会」という下部組織があり、クロマグロについてはそこで話し合われ決定される。これまでは毎年、WCPFC本会議はクロマグロに関して、北小委員会の決定をただ承認するだけであったという。
その北小委員会での議論というのは、事実上これまで日本が一国でリードしてきたらしい。今年も、アメリカなどから異論が出るには出たが、結局は「規制見送り」という(日本の要望がそのまま反映された)裁定が行われ、その結果が本会議に持ち込まれた。
ところが、ついにというべきか、今年の本会議では、北小委員会の、はっきり言ってしまえば日本の、クロマグロ保護への意識の低さに、各国の怒りが噴出するに至ったのである。
結局、WCPFC本会議が、北小委員会の無為無策を強く非難し、クロマグロの保全を前提とした再調整を行うようにと勧告して、とりあえず会議は閉幕した。だが、そもそもWCPFC本会議がこのような勧告を行うこと自体が異例と言うか前代未聞なのであり、言ってみれば日本が各国に「厳しい宿題を突き付けられた」形であるという。
クロマグロは、まだワシントン条約保護対象ではない。その資源保護とどう向き合っていくかは、各国の自主裁量に委ねられている。今後、日本はどうしていくべきなのか。真摯な対応が求められている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)