トヨタ、TNGAによりパワートレーン一新、2021年までに60%に搭載

2016年12月6日 21:52

 トヨタ自動車は6日、「Toyota New Global Architecture(TNGA、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」に基づき、エンジン・トランスミッション・ハイブリッドシステムを一新、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求し、大幅に進化させたと発表した。

 今回新開発したパワートレーンは、軽量・コンパクト化、低重心化、エンジンの高速燃焼、トランスミッションの多段化・高効率化など基本性能を徹底的に見直すとともに、こうして実現した基本骨格を統一化するためにモジュール設計を行ったもの。トヨタの次世代プラットフォームの方針となるTNGAは、「いいクルマづくり」の構造改革として2015年に発表され、同年発売の4代目プリウス以降、採用が拡大されている。

 エンジンでは、新型「直列4気筒2.5L直噴エンジン」を開発。「Dynamic Force Engine」と称する新型エンジンは、エンジンポテンシャルを最大限引き出すために、TNGAにより基本骨格を一から考え直し、構造・構成を刷新することでより高い走行性能と環境性能を両立させている。高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を両立。ガソリン車用エンジン・ハイブリッド車(HV)用エンジンは、それぞれ、世界トップレベルとなる熱効率40%・41%を達成すると同時に、緻密な制御による高レスポンス化と全速度域での高トルク化など、多くの新技術の採用により全面的に見直し、大幅に進化させたものだ。

 トランスミッションでは、新型「8速・10速オートマチックトランスミッション」を開発。エネルギーロスを最小限にし、伝達効率を高めるためにギヤやクラッチなどに様々な対策を施している。ギヤは、歯面の摩擦係数を低くする新たな加工を施し、ギヤが噛み合う時のエネルギー伝達ロスを削減し、クラッチは、機構内の摩擦材形状を最適化、回転時のクラッチの損失トルクを約50%低減(従来型6速AT比)するなど世界トップレベルの伝達効率を達成した。小型軽量化により車両燃費も向上させるとともに、低重心化により直進およびコーナリングの走行安定性を向上させている。

 ハイブリッドシステムは、4代目プリウスに採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、2.5Lエンジン用ハイブリッドシステムを一新するとともに、FR用の高性能マルチステージTHSⅡを新開発。小型・軽量・低損失化技術と、TNGAによる新型エンジンの高い燃焼効率と高出力とのシナジー効果により、優れた動力性能・低燃費を高次元で追求している。マルチステージTHSⅡは、ハイブリッド車の走りのイメージを一新する高い発進加速性能とダイレクト感溢れる走りを実現。高速走行時のシステム効率の向上に加え、高車速域でもエンジン間欠運転を可能にすることで高速燃費を向上している。

 プラグインハイブリッドシステムも一新し、従来のモーター走行に加え、これまで発電機として使用していたモーターを、走行用としても使用するデュアルモードドライブシステムにより、力強いEVモード走行を実現。大容量のリチウムイオン電池の採用により、プリウスPHVのEV走行換算距離(EV走行距離)を60km以上と大幅に延ばした。

 トヨタでは、新型パワートレーンにより良品廉価な商品を一気に展開することが可能になるとしており、2021年までの5年間で、エンジンは、今回開発した2.5Lガソリンエンジンを含め、9機種・17バリエーション、トランスミッションは、多段化AT、新機構の無断変速機(CVT)など4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは、6機種・10バリエーションの投入を予定。

 搭載車種は、2017年発売の新型車を皮切りに順次拡大。5年後の2021年には、トヨタ単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の60%以上を目指していく方針だ。

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