鳥インフルエンザ日本上陸 被害拡大に深刻な懸念広がる
2016年12月4日 10:41
韓国で11月中旬に発生が確認され、その後も同国全域に感染が広まっている鳥インフルエンザが、日本にも上陸した。ウイルスは韓国のものと同じH5N6型で、この時期に越冬のため大陸から日本列島へと飛来するオオハクチョウなどの渡り鳥が感染源ではないかと見られる。既に新潟県でニワトリ54万羽、青森県で食用アヒル1万8,000羽が殺処分された。ほかに北海道、福島、茨城、そして鹿児島でも鳥インフルエンザの野鳥が発見されており、今後のさらなる感染拡大が強く警戒される。
と言っても、鳥インフルエンザはヒトへの感染はほとんど起こらないので、一消費者の立場では対処すべきことはあまりない。あえて言えば、鶏肉の生食―食中毒のリスクがあるので、それでなくともあまり行うべきではないのだが―は避けよう、という程度である。インフルエンザウイルスは摂氏70度1分間の過熱で死滅するからだ。卵についてはもっと安全で、仮に母鶏が感染していても卵にウイルスが入ることはないから、賞味期限内であれば生食も一切問題はない。
鳥インフルエンザ流行に際し殺処分が広く行われるのは、他に感染拡大を防ぐ手段がないからである。インフルエンザはウイルスであるから抗生物質は効果がないし、ワクチンは有効な型と有効でない型があり、H5N6型に有効なワクチンはまだ開発されていない。
また、極東アジアでの流行と関連があるのかないのかは分からないが、フランス、ドイツ、ハンガリーなどでも現在鳥インフルエンザが発生し、禁輸措置が取られている。日本の鶏肉消費の七割以上は国産が占めており、主要輸入相手国はシェア順にブラジル・タイ・中国・アメリカである。よってEUで鳥インフルエンザが大発生したからといって日本でクリスマスにフライド・チキンが食べられなくなるなどということはないのだが、フランスのフォアグラが禁輸措置延長になる(昨年から禁輸は行われていて、それが解除される直前で再発生した)のは、年末の需要拡大に向けて少々手痛いところかもしれない。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)