教育用ICT市場、2015年度186億円、20年度には15年度比約8.3倍に
2016年11月30日 18:05
政府は、2020年度までに「1人1台のタブレット」を実現することを目標に掲げ、現在は教育現場で様々な実験が行われている。最大の課題は「1人1台」のタブレットで利用するデジタル教科書であるという。現在、デジタル教科書は、紙の教科書をデジタル化したものにすぎず、その位置づけは教科書ではなく、教材に位置付けられている。デジタル教科書が紙の教科書にとってかわるためには、法律の改正をはじめ様々な課題があるが、2016年になり、デジタル教科書も紙の教科書とのすみわけが始まっている。
そこで、シード・プランニングは、国内の教育ICT市場動向に関する調査を実施し、その結果をまとめた。
教育ICT分野の調査は2009年に始めて今回が7回目の調査となるという。前6回の調査では教育ソリューション関連の情報が不足していたが、今回は教育ソリューション関連情報の充実に努め、電子黒板、教育用タブレット、デジタル教科書、教育用ソリューションンの4分野での教育ICT市場規模を明らかにした。
電子黒板、教育用タブレット、デジタル教科書、教育用ソリューションの4分野合計の「教育用ICT市場」は2015年度186億円。2020年度には2015年度比約8.3倍の1,547億円が見込まれる。この内、4割強が教育用タブレットの市場となる。
これまでの電子黒板市場は政権交代などの影響を受け毎年増減の幅が大きかったが、今後は安定的に導入が進み、出荷台数は年率20%程度成長すると予測した。2015年の出荷台数は85,000台と推計。2020年の出荷台数は25万台と予測している。
教育用タブレットの2015年の出荷台数は65,000台と推計。一部の先進的な自治体が先行して「1人1台」の実現に動いているが、大勢としては政府の予算措置待ちというところが多い。政府は2020年までに「1人1台のタブレット」の実現を計画しているが、2020年の対象となるのは小学生で中学生は翌2021年度となる。高校については動きが鈍く2022年度の実現は難しい状況になっている。したがって、教育用タブレットの導入は政府が予定している2020年度近辺に集中すると想定した。2020年の出荷台数は160万台と予測している。
電子黒板用で使う教師用デジタル教科書は2005年から販売が開始された。学習指導要領の改訂に合わせ教科書各社は2011年に小学校用、2012年に中学校用を一斉に販売した。文部科学省の教師用デジタル教科書整備状況調査では、2014年度で小学校の43%、中学校の46%が整備済みとしている。学習者用デジタル教科書は、小学校の発行済み教科書数の56%でデジタル版が発売されているが、教科書扱いではなく「教材」扱いとなっているとしている。(編集担当:慶尾六郎)