「この世界の片隅に」を絶対に見に行くべき3つの理由

2016年11月24日 07:32

記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ

 こうの史代の漫画を原作とするアニメーション映画「 この世界の片隅に 」。公開初日に観てきた私が、どうしてもこれを多くの人に見て欲しいと思った3つの理由をここで語らせて頂きます。

■1.彼女達の人生はただの悲劇なんかじゃない。


 本作は広島に住む一人の女性、すずの人生を描く物語で、その背景には第二次世界大戦や敗戦後の貧しさがまざまざと描かれています。

 戦争を描く作品と聞くと、どうしてもどんよりとして暗くなるような作品と思いがちですが、今作は違います。

 確かに辛いシーンや、思わず目を背けたいような出来事が描かれる事もありますが、この作品が描こうとしている本質はそこにはないのです。

 では、この作品が描こうとしている本質とは一体何なのか?

 それは、戦時中を生きた人々の人生はただの悲劇なんかじゃない。

 という事です。私達の多くは戦争を知らない世代です。

 そんな私達が戦時中の人々を想像する時、どうしたってそれは暗く落ち込み、傷付いた姿を想像してしまいますが、この作品は、どんなに世界が厳しく残酷になっても、人が本来持っている暖かさや笑顔までは失くさないで生きていた人々の人生を追体験させてくれるのです。

 確かに、戦争によって多くを奪われ、傷付いた人々ですが、だからといって彼らの人生の全てが悲劇だった訳ではない。
そこには確かに、人の暖かな幸せだってあったのだと、そう思わせてくれるのです。

■2.第二次世界大戦じゃない、「 この世界の片隅に 」で描いているのは人間性と暴力の戦い。


 戦争は人々から、多くの大切な物を奪いました。

 この作品の中でも、登場するキャラクターの多くが戦争によって大事な物を失います。

 ですが、彼女達はその悲しみや苦しみにただ打ち拉がれてしまうだけでは終わらないのです。

 生きている限り、互いに支え、助け合い、お互いを励まし合う。

 そして必ず笑顔を取り戻そうとする。

 この作品の背景に描かれているのは、第二次世界大戦という歴史上実際にあった戦争ですが、本作における本当の戦いは、人の暖かさや優しさ、そういった人間性を、戦争という暴力の渦からどこまで守りきれるのか?という戦いなんです。

■3.今こうしていられるという事の意味。


 先述した通り、この作品は「戦争という暴力と人間性の戦い」を描く作品です。

 当時を生きた人々が、どんな状況でも常に暖かさを忘れずに生きようとした結果、どうなったのか、戦争から人間性を守り抜く事が出来たのか?

 それは私達が一番良く知っている筈なのです。

 これを読んでいる貴方は人生で何度笑いましたか?
何度、暖かな気持ちを感じましたか?
何度、幸せを感じましたか?

 きっと一度も感じた事がないという人は居ない筈です。

 私達が笑顔や暖かさや幸せを知っているという事が、当時の人々が戦争から人間性を守り抜いた何よりの証明なのです。
彼女達がどんな状況でも、暖かさを失わずに生きていたからこそ、私達の時代まで人間性のバトンが繋がれているのです。
私達が今こうして、普通に生きている日々は、多くの人々が命を賭けて守り抜いた日常なんだという事を本作は優しく教えてくれるのです。

 戦争があっても、人の暖かさは失われる事なくこうして受け継がれてきた。

 そう思うと、私達だってこれからの人生の中で、決して暖かさを失わずに生きていける、そう思えるのです。

立ち見客から拍手まで!?「 この世界の片隅に 」が上映開始初日からスゴいことに!!

(あにぶ編集部/クールハンドこっさん)

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© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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