台湾トランスアジア航空が解散を宣言、全便が欠航する事態に
2016年11月23日 11:45
台湾の航空会社で、日本国内6カ所の空港に定期便を乗り入れていたトランスアジア航空が、突然の解散を宣言した。22日、理由が明かされないまま同社のすべての航空便が欠航。同日午後、記者会見が開かれ、経営の悪化により会社の解散を決めたことが経営陣により明らかにされた。
同社は近年二度に渡り大きな事故を起こしている。2014年7月23日、トランスアジア航空222便が台風の影響を受け着陸に失敗し墜落、乗員乗客の58名のうち48名が死亡。さらに2015年2月4日、同235便が離陸直後のエンジントラブルで墜落、乗員乗客58名のうち43名が死亡。これらの事故により同社の信頼は失墜、搭乗率が激減して経営の悪化を招いたという。
突然の欠航により立ち往生を余儀なくされた利用者からは非難の声が殺到、国土交通省はトランスアジア航空日本支社に対し、支払い済み運賃の返金、他航空会社便への振り替えなど対応に万全を期すよう指示した。
日本国内6カ所の空港のうち、台湾との定期便がトランスアジア航空しかないのは北海道の旭川空港で、今後、北海道北部の観光産業に対する悪影響も懸念されている。
航空会社の経営破綻により航空便の欠航を招いた今回の事態は異例ではあるが、まったく前例がないわけではない。2001年10月2日、資金繰りに行き詰まったスイス航空は、燃料代も空港着陸料も払えなくなり、離陸直前の便までがフライトストップ、搭乗した乗客をそのまま機から降ろす羽目になったという。この事件は映画にもなっている(『グラウンディング―スイス航空の最期の日々』、2006年日本公開)。
アメリカでも航空会社の倒産が2000年以降だけで5回あるが、これらは同国の破産法適用が申請された上で経営は続けられる法的処理であり、利用者の間に混乱が生じることはなかった。2010年に日本航空(JAL)が会社更生法の適用を申請した際もほぼ同様である。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)