中国勢が海外サッカー買収攻勢、15年だけで6300億円投下
2016年11月17日 13:31
*13:31JST 中国勢が海外サッカー買収攻勢、15年だけで6300億円投下
中国企業による海外サッカークラブの買収が相次いでいる。昨年1年間に投じられたチャイナマネーは、総額で400億人民元(約6335億円)に迫る規模。前年の3倍以上に膨らんだ。買収案件も前年比5割増で推移している。うち買収額が1000万人民元を超えるもので33件を数えた。各資本が狙うのは、海外サッカークラブの高い知名度。海外での企業ブランド力の強化を図る構えという。経済参考報が17日付で伝えた。
この買収ブームは今年に入っても継続。8月だけでも3件を数えた。投資グループの中欧体育投資管理公司は5日、イタリアの名門サッカークラブ、ACミランの株式99.93%取得を発表。さらに同日、雲毅国際(上海)が英プレミアリーグ所属のウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA)の買収を発表した。また奥瑞金包装は、フランスサッカー2部リーグ、AJオセールの株式59.95%を700万ユーロで取得すると宣言している。
そして今年6月には、蘇寧雲商集団(002024/SZ)がイタリア1部リーグ「セリアA」のインテル・ミラノを2億7000万ユーロで買収することが明らかとなった。この買収について、蘇寧の張近東・董事長は、「グローバル戦略の重要な一環」と説明。「インテル・ミラノの世界知名度を積極的に活用して、海外進出を加速させたい」と抱負を語った。
個別企業の判断ながら、中国資本の買収攻勢は、国策と関連性が深いといえる。国家発展改革委員会(発改委)は4月、「2050年までに中国のサッカーを世界一流にし、中国でワールドカップを開催する」とするサッカー競争力強化に向けた長期計画を発表。挙国体制で「サッカー強国」を目指す方針を高々と掲げた。国家体育総局が7月に公布した「スポーツ産業の第13次5カ年発展計画」では、2020年のスポーツ産業規模を3兆人民元超に拡大させ、産業付加価値額の国内総生産(GDP)比率を10%に引き上げる——とする目標が記されている。これらの政策決定が企業の「サッカー投資」を加速させていることは明白だ。
海外サッカークラブも中国市場の成長潜在性に着目している。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の報告によると、中国のスポーツ観戦チケット・関連グッズ販売、広告収入の合計は2015年に概算で34億米ドル(約3710億円)。米国(636億米ドル)のわずか5.3%にとどまり、ポテンシャルの大きな市場と捉えられている。
【亜州IR】《ZN》