パリ協定、日本も批准、温暖化ガス排出「実質ゼロ」へ

2016年11月17日 08:39

 2020年以降の地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が発効した。1997年に採択された京都議定書に代わるもので、産業革命前からの温暖化による各気温上昇を2度未満に抑えることを目標としている。気候変動枠組条約に加盟する196カ国全てが参加しており、日本もアメリカや中国、EU諸国などに遅れをとったものの8日に批准手続きを完了させた。締約国として正式に認められるのは批准から30日後のため、COP22会期中に開かれる協定の第1回締約国会議には議決権のないオブザーバー参加となる。

 18日までモロッコで開かれている第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)では、会期中に開催される会議でこの目標実現のためのルールづくりが行われる。今までは先進国と途上国の溝が深かった温暖化対策だが、パリ協定は国の大小を問わず温暖化ガスの排出削減を目指す合意。これまでの社会のあり方を変えることも求めている。脱炭素社会の実現へ、世界が一丸となって取り組むことが期待されている。

 現在日本は世界第5位の温室効果ガス排出国となっており、その量は全体の3.8%を占めている。「2030年までに13年比で26%減」という目標を提出しているものの、この目標を達成するには家庭からの排出量を2013年から約4割減らす必要がある。排出量の多い石炭火力発電などを減らすとともに省エネ製品の普及などを進めていく方針ではあるが、そのハードルは限りなく高いといえるだろう。

 パリ協定では長期目標も定めている。すべての国・地域が二酸化炭素などの温暖化ガスの排出を今世紀後半までに「実質ゼロ」にすることを目指すことを基本としている。長期目標を先取りしているイギリスでは08年時点で、2050年までに1990年比で80%削減という目標を設定している。日本もパリ協定を受けて「2050年に80%削減」の長期目標を盛り込んだ。

 1997年に採択された京都議定書には中国が参加せずアメリカも途中で離脱した。このため今回のCOP22以降の交渉では実効性の担保が絶対的に求められる。しかし今まで同様各国の思惑が交錯し、目標の変更など様々な駆け引きがなされることだろう。 (編集担当:久保田雄城)

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