トランプ大統領誕生!「ズートピア」は夢と魔法の世界でしかなかったのか!?

2016年11月12日 21:44

記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ

 アメリカ大統領選が終わりました。アメリカにてドナルド・トランプ新大統領の誕生が決まりました。民主主義なのだから“大方の予想を裏切り”という表現はおかしいのですが、意外という言葉を使いたくなる結果でした。・・・というのもアニメ映画好きとしてはあの「ズートピア」が生まれた国、しかも大ヒットした年に限って、この様な結果が生まれたという事態に驚いています。

 どう驚きなのかを、「ズートピア」を見てない人にもできる限り分かりやすい様に書いていきます。

■人種の多様性を描く映画「ズートピア」


 見ていない人に「ズートピア」という映画がどういう映画かをざっくりと説明します。本作は、種族も、生活スタイルも、そもそも根本的に大きさすら全然違う生き物たちが共存する『ズートピア』という町を描いた映画です。

 そんなことはポスターを観ただけで、なんとなくイメージできることだと思うのですが、この映画がすごい所はその動物たちが共存する世界をかなり具体的に描いているということ。

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 生活環境や生活サイズなどによって区別が施されたり町並みは、遊園地を見てるようで賑やかで非常に楽しい。かと思えば、その世界はまだ完全な共存とは実は言えず、肉食動物と草食動物の間での差別意識がまだ残っており、ある出来事をきっかけにそれが爆発する様は、非常に現実的なものでした。

 で、まさに“動物たちの町の映画”を予想して見に行った人はこの映画を見終えて気づかされます。これって人間の世界と一緒じゃん!と。

 人種も違えば、言葉も違う。もちろん生活の仕方も違う。そんな世界でどうすれば皆が幸せに生きていけるのか。それを問いかける映画が「ズートピア」だったのです。

■世界が支持した「ズートピア」の爆発的大ヒット


 日本でも70億を越える大ヒット作品となった「ズートピア」ですが、大ヒットは日本だけじゃありません。お隣中国では同国アニメ映画史上最高記録となる2億3千万$の大ヒット興行収入作品となりました。そして、北米興行収入はさらにすごいおよそ3億3千万$の大ヒット!

 最終的に、全世界トータルで10億$という記録を打ち立てました。(上には上がいるので、実写を含む全世界興収では20位以下ですが、これだけヒット作がある映画界で上にある作品が20作品程度というのはやはりすごい数字)

 共存をテーマにした作品が、こうして世界的に支持されるということは、まさに「ズートピア」のような多種多様な人間たちが幸せに暮らせるような世界の実現も、夢ではないのかなぁと思わせられました。

 そんな矢先・・・今回の大統領選挙はまさにそれが夢でしかなかったのかも、と思う結果だったのです。

■レイシストとされるトランプ大統領は反ズートピア的ではないか


 今回当選となったドナルド・トランプ氏は度々レイシストとして非難されてきました。大統領選の最中、民族的差別や女性蔑視とも言える発言などを繰り返してきました。トランプ氏はまさに「ズートピア」で是非が問われてた行動を行ない続けてきた人物だったのです。

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 「ズートピア」という作品は地球規模的な見方もできる一方、様々な人種がひしめき合う様から、とりわけアメリカ的とも言えます。アメリカに住む人々は間違いなく、「ズートピア」を観た時にきっと、『アメリカのような世界だ』と思ったことでしょう。

 映画「ズートピア」ではあるきっかけが元で、動物たちが種族同士でいがみ合う展開に発展してしまいます。その根源がまさに異なる人種や民族に対する差別的な“気持ち”でした。直接攻撃されたわけではないのに心のなかにある印象だけで他者を拒絶する行為・・・差別心が町の共存を脅かすことに発展する映画でした。

 そのような映画の内容に対し、トランプ氏が当選するということは「ズートピア」のメッセージに反する結果ではないでしょうか。2016年の前半、「ズートピア」で感動した人々は果たして、トランプ氏の度々の発言をどう受け取ったのでしょうか。

■みんなが幸せに暮らす世界の難しさ


 考えれば考える程、「ズートピア」の描いた世界を成立させることはやはり難しかったのだと感じるわけでございます。今回、トランプ氏に投票した人たちも、もしかしたら「ズートピア」に感化されたうえで投票したのかもしれません。今まで散々税金を搾取された挙句、一向に生活の向上が見られない中、これが平等な世界なのかどうかに疑問を持った、そんな地方の人々が業を煮やしたという見方もできるでしょう。“みんなが幸せに暮らす”ことを求めた結果、今幸せじゃない人達が求めた世界こそがトランプ大統領を生んだのかもしれないのです。性別や民族だけじゃなく、地方と都市、そして、貧富の差も人を分かつ存在であった事を私も見落としていたのかもしれません。

 「ズートピア」でも、主人公ジュディは差別問題が加熱した際に、地方の実家へ帰ってしまいます。まるでその問題が行き届かない世界へ逃げるかの様に。

 「ズートピア」が実は描いていなかった平和の盲点は、ズートピアという町の“外の世界”の存在であり、それが今回の選挙戦の勝敗を決めたと言えるかもしれません。

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 面白いことに今現在アメリカで大ヒット作品となっているドリームワークス・アニメーションの最新アニメ映画「トロールズ」も共存を描く映画となっています。ただ、「ズートピア」と違うのはその描き方が“食べるもの”と“食べられるもの”で分けられた世界であること。人々を分かつ存在は人種や性別だけではないということを改めて痛感させられます。

 果たして、トランプ大統領以降の世界はどうなるのでしょうか。「ズートピア」が描いた、夢の様な世界の実現はできるのかでしょうか。「ズートピア」の映画が、主題歌「トライエヴリシング」の『あきらめないでいこう』というメッセージで締めくくられていることも忘れてはいけません。

 画像はZootopiaのオフィシャルFacebookページより引用

(あにぶ編集部/ネジムラ)

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