映画『サーミ・ブラッド』、日本公開が決定

2016年11月10日 21:31

 第29回東京国際映画祭コンペティション部門で上映された映画『サーミ・ブラッド』が、同映画祭にて審査員特別賞と最優秀女優賞を受賞。日本での公開が決定した。

 ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北部に存在する少数民族で、差別的な扱いを受けてきたサーミ人の少女のアイデンティティを描いた本作。伝統的にサーミ人が暮らしているラップランドの美しい自然を舞台に、差別に抗い生き抜く少女の成長を通して“平等”という普遍的なテーマを訴えるヒューマンドラマだ。

 主役の少女を演じたレーネ=セシリア・スパルロク自身は、普段はトナカイの世話をしながら暮らしているという純粋な南サーミ人。実の妹と共に作品に出演し、第29回東京国際映画祭で見事優秀女優賞を受賞した。

 そして本作でメガホンをとったアマンダ・ケンネル監督自身も、サーミ人の父とスウェーデン人の母の間に生まれたダブル。祖母のルーツをテーマに自身初の長編映画となる本作を撮ったケンネル監督は「支配階級と劣等民族の構図はまだ存在します。映画はスウェーデン史の暗部を描いていますが、でも基本的には、同様なことが現在でも難民キャンプで暮らす誰かに起こりうるのです」と語っている。

【作品情報】
映画『サーミ・ブラッド』
公開時期:未定
監督:アマンダ・ケンネル
撮影監督:ソフィーア・オルソン、ペトルゥス・シェーヴィーク
出演:レーネ=セシリア・スパルロク/ミーア=エリーカ・スパルロク/マイ=ドリス・リンピ/ユリウス・フレイシャンデル/オッレ・サッリ/ハンナ・アーストロム/マーリン・クレーピン/アンドレアス・クンドレル/イルヴァ・グスタフソン
2016年/スウェーデン=デンマーク=ノルウェー/112分/スウェーデン語

【あらすじ】
1930年代、スウェーデン北部の山間部で暮らすサーミ人は、劣等民族とみなされ差別的な扱いを受けていた。中学生のエレ・マリャは成績も良く街の高校に進学したかったが、先生にサーミ人には進学する資格がないと言われる。民族衣装を着ることを押し付けられ、見世物のようにテントで暮らすことを強いられる生活からなんとか脱したいと思っていたエレは、村の夏祭りのダンス大会で出会ったスウェーデン人の少年ニコラスと束の間の恋に落ちる。そのニコラスを頼ってエレは家出をするのだった。

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