ファセッタズム落合宏理「時代のスピードについてきた」、毎日ファッション大賞

2016年11月6日 20:23

(手前左から)佐藤天彦棋士、貝原良治カイハラ代表取締役会長、落合宏理「ファセッタズム」デザイナー、今崎契助「プラスチックトーキョー」デザイナー、設楽洋ビームス社長

 ファッション業界において優れた成果をあげた個人・団体に贈られる「2016年度(第34回)毎日ファッション大賞」の授賞式が2日都内で行われ、大賞を受賞した落合宏理(「ファセッタズム」デザイナーや新人賞を受賞した今崎契助(「プラスチックトーキョー」デザイナー)ら各賞の受賞者が出席した。

 落合氏は、2013年に新人賞を受賞してからわずか3年後の大賞受賞となり、高橋盾「アンダーカバー」デザイナー(1997年新人賞、4年後の2001年に大賞受賞)の歴代最短記録を塗り替えた。「わずか3年という早さに驚いているが、これも時代の流れかなと感じる。時代のスピードの速さに付いてこられたことが評価につながったのだと思う」とコメント。「毎日ファッション大賞は学生の頃からの漠然とした夢だったが、ブランドを始めたあとは、ブランドの姿勢として、“取らなければならないもの”に変わった。新しい価値を生むためにも、受賞を自信に変え、世界に対してクリエーションを発表していきたい」と話した。と落合氏は2015年、LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトングループ)が若手支援を目的に行う「LVMHプライズ」で日本人初のファイナリストに選ばれたことや、ミラノとパリで相次ぎショーを開くなど積極的に海外進出に挑戦する姿勢が高く評価された。

 新人賞・資生堂奨励賞は、「プラスチックトーキョー」デザイナーの今崎契助氏。東京のカルチャーを表現していることや将来性の高さなどが受賞理由となった。「未熟な私が名誉ある賞をいただけたのも、支えてくださっている皆様のおかげ。受賞を糧にさらなる飛躍を誓いたい」と抱負を語った。

 ファッション界の発展に寄与し功績を残した人に贈られる鯨岡阿美子賞は、デニム生地を製造するカイハラの貝原良治代表取締役会長が受賞。デニムがモードの中核を占め、かつ一番高品質と言われる日本のデニム発展を支える存在であることなどが評価された。ファッション文化に貢献し、破壊的インパクトを与えた人に贈られる話題賞は、将棋棋士で第74期名人佐藤天彦氏。普段から海外のハイファッションブランドを愛用し、将棋の対局でも、これまでの棋士が着なかったような華やかな色柄の和服を着用するなどファッションを楽しむ姿勢に注目が集まった。さらに特別賞は、日本の食やファッション、カルチャーなどに着目し、ビームスが東京・新宿にオープンした「BEAMS JAPAN」が受賞。世界に日本のよさを発信し、“日本”をブランディングする試みに、評価の声があがった。

落合宏理「ファセッタズム」デザイナー

今崎契助「プラスチックトーキョー」デザイナー

佐藤天彦棋士

「1970年にデニムを始めた時も自分たちで染色機を自分たちで作った。常に新しい試みを行ってきたことが私たちの強み」と語ったカイハラの貝原良治代表取締役会長は、デニムのスーツで出席。「生まれた時から機織り機の音を聞きながら育った私の血液の色は青色」とも。

「これまでは世界のいいものを紹介してきた。これからは、“匠からオタクまで”、日本のいいものを世界に発信する」と設楽洋ビームス社長

授賞式では、「プラスチックトーキョー」来春夏コレクションのランウェイショーも行われた

▼受賞結果は以下の通り。

「2016年度(第34回)毎日ファッション大賞」 ・大賞:落合宏理(「ファセッタズム(FACETASM)」デザイナー) ・新人賞・資生堂奨励賞:今崎契助(「プラスチックトーキョー(PLASTICTOKYO)」デザイナー) ※「崎」は「たつさき」 ・鯨岡阿美子賞:貝原良治(カイハラ代表取締役会長) ・話題賞:佐藤天彦(将棋棋士 第74期名人) ・特別賞:ビームス「BEAMS JAPAN」

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