Eメール再捜査開始でもクリントン優勢は変わらず

2016年10月31日 08:02


*08:02JST Eメール再捜査開始でもクリントン優勢は変わらず
先週末の金曜日に突如、米連邦捜査局(FBI)が大統領選のヒラリー・クリントン候補の私用メール問題の捜査を再開すると発表した。これによりいわゆるリスク回避の円買いが強まり、上昇していたドル円はあっという間に105円半ばから104円半ばへと約1円も急落した(円高ドル安)。突然の発表に驚き、市場はトランプ大統領実現のリスクが再度高まったと受け止めたといえよう。
 ただ、FBIが議会に送った書簡をみると、「メールの重大性は判断できず、捜査にどれくらい時間がかかるか不明」という趣旨のことが述べられており、クリントン氏が不利益になる新たな証拠が発見されたというわけでもなさそうである。
 また、捜査には時間がかかるとみられ、大統領選まであと10日ばかりしかないことから、これ以上選挙本番前に新たな材料が出る可能性は低い。
 一方、トランプ候補には女性へのセクハラ行動の証言者がさらに増えており、女性からの支持を大きく失っているため、従来の支持率が回復する兆しはない。
 両者のスキャンダルや罵り合いで、史上最低の大統領選などと揶揄され、もはやどちらがより最低ではないかを競う選挙になってきたといえよう。
 ただ、クリントン氏が「故意に重大な機密情報を漏らした」という決定的な証拠が出れば覆る可能性があるが、このままの事態で推移するなら、なんとかクリントン候補の辛勝という形で幕を閉じる可能性が高い(FBIは7月に「故意に法律に違反した証拠はない」として訴追を見送っている)。結局のところメール問題には現時点では進展はなく、トランプ候補も独自に支持率回復の決定打を打てる見込みはないからだ。
 それにしても、FBIがなぜこれほどまで直前のタイミングで、確たる証拠もなく突然捜査の再開を決めたのか不可解である。政治的な陰謀も背後にあるのではないかと勘ぐってしまう。あるいは、大統領選前にも捜査は尽くしたというエクスキューズなのだろうか。《YU》

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