宮城県丸森町、オラクルと提携した移住・定住促進プロジェクト

2016年10月27日 18:16

過疎化と少子高齢化が進み、急激な人口減を課題とする地方の市町村が増加している。こうした市町村のなかには、地域の活性化対策として移住や定住、観光に力を入れているところも多い。仙台駅から約1時間でアクセスできる丸森町も都会からの適度な距離という立地条件と田舎ならではののどかな環境を活かし、移住・定住や観光客誘致を促進すべく「HELP MARUMORI」プロジェクトを発足している。同プロジェクトでは今回、新しい施策を実行すべくオラクル等7つの団体による「高度ICTを利活用した移住・定住・交流促進に係るパートナーシップ協定」を締結した。

施策の内容は、観光客や町への移住・定住に関する問い合わせに関して、問い合わせ者の属性や問い合わせ内容のデータ管理や、観光客へタブレッド端末を貸与して観光スポットやショップを紹介するとともに閲覧データとGPS機能から行動履歴を収集・蓄積するといったもの。さらには、これらのデータを分析・パターン化することで、新たな人気観光スポット・経路を発掘。また、分析結果を移住・定住者希望者が訪れる生活利便施設の特定に活用する。これらの施策を実行するシステム基盤には、オラクルのクラウド・サービス群を採用する。丸森町は2017年2月に本システムを稼働後、育児情報やコミュニティ・イベントなどの情報配信および、位置情報を活用した機械学習による町役場への問い合わせ対応の利便性向上を実施。これらをアピールポイントとして移住・定住および観光客誘致を促進していく方針。

近年、ICTを利活用した地域の活性化に期待が集まっている。遠隔地方都市におけるICTの役割は、距離や時間等の制約を克服して、地域の創意工夫を活かしたイノベーション創出すること。また、医療・教育・行政・防災など地域サービスの向上や、テレワークなどによる雇用の創出といったものだ。徳島県神山町などはICTを活用した企業誘致を積極的に実施し、定住促進や人口増加において成果を上げている。今回の丸森町のプロジェクトでは、従来のインフラ整備といったICTの活用から一歩進んでおり、蓄積したデータを分析して移住・定住の促進や観光客の誘致につなげる点で注目に値する。今後は同プロジェクトに続く地方都市が表れ、地方創生におけるICTの利活用が活性化されることが期待される。(編集担当:久保田雄城)

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