NYの視点:米Q3GDPに明るい兆し

2016年10月27日 07:18


*07:18JST NYの視点:米Q3GDPに明るい兆し

米商務省が発表した9月の前渡商品貿易収支は561億ドルの赤字と、赤字幅は拡大予想に反して8月の592億ドルから縮小し3月来で最小となった。貿易赤字の縮小は国内総生産(GDP)にプラスに寄与する。また、9月の卸売在庫も前月比+0.2%と、3カ月ぶりのプラスで予想+0.1%も上回った。貿易赤字の縮小と在庫の拡大を受けて、金融機関は7−9月期の国内総生産(GDP)の成長予想を引き上げ。ゴールドマンサックスのエコノミストは米国7−9月期の国内総生産(GDP)の成長率予想を従来の2.7%から2.9%へ引き上げ。バークレイズ銀は従来の2.6%から3.0%へ0.4%ポイント引き上げた。3%成長は2014年の7−9月期の5%成長以来、最大の伸びとなる。

マークイットが発表した米国の最新10月サービス業PMI速報値は54.8と、市場予想52.5を上回り昨年11月来で最高となった。10月製造業PMIも1年ぶりの高水準で、10−12月期の製造業が予想以上の回復を見せる可能性が指摘されている。7−9月期、10−12月期GDPの予想以上の成長は12月の利上げをほぼ確実にする。

大統領選挙を控えて11月のFOMCでの利上げは困難と見られている。しかし、サプライズとなるであろう11月FOMCでの利上げの可能性も完全に除外されていない。大統領選挙の世論調査でも民主党候補であるヒラリークリントン氏がドナルドトランプ氏に対してのリードを広げている。クリントン氏が選出される可能性が強まり、大統領選挙への不透明感が後退するなか、11月FOMCでの利上げの利点も指摘されている。まず、大統領選挙前に利上げを実施することで、連邦準備制度理事会(FRB)は独立性を表明できる。また、FOMCはFRB議長の記者会見が予定されている会合のみに行動するとの認識を崩すこともできる。FOMCは基本的にサプライズを嫌うため、このシナリオの可能性は非常に低いと考える。《NO》

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