15年のギフト市場規模は前年比2.2%増の9兆9,535億円
2016年10月19日 12:35
矢野経済研究所では、国内ギフト市場の調査を実施した。調査期間は2016年 8月~9月、調査対象はギフト卸・メーカー、小売(百貨店・量販店・専門店・通販)等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、郵送アンケート、文献調査を併用した。
それによると、2015年のギフト市場規模は小売金額ベースで、前年比102.2%の9兆9,535億円であった。儀礼的な要素の強いフォーマルギフトは縮小傾向にあるものの、カジュアルギフトがギフト市場を伸長させる一要因となっている。
日本には古来より慣習としきたりに則ったフォーマルな贈答文化が、冠婚葬祭を中心に存在しているが、少子高齢化、核家族化、地域関係や親戚関係の希薄化といった社会的背景により、中元や歳暮、結婚祝い・引出物、また香典返し・法要返しといった儀礼的なフォーマルギフトが減少している。
その一方で、身近な存在である親、子供、友人等に対する感謝や好意、尊敬や愛情の表現としてギフトを贈るという行為は大きな役割を持っており、コミュニケーションを円滑にする手段ともなっている。こうしたなか、フォーマルギフトのように形式に囚われず、気軽に贈ることができるカジュアルギフトは現代に即した形で変化したギフトの在り方ともみられ、今後も市場の成長要因となるものと考えるとしている。
高齢化社会の進展によるシニア層の増加により、母の日、父の日、敬老の日、長寿のお祝い(還暦など)といった、目上の人に贈るカジュアルギフトが大きく拡大している。その要因としては、贈られる側のシニア層が増加したこと、贈る側の年齢層も高まり、購入単価の上昇がみられたことなどが挙げられる。昨今は敬老の日のギフト需要を活性化させる販売促進活動を強化する企業が増えているという。
より近しい人へ贈るカジュアルギフト需要の拡大により、贈る側の想いやこだわりが感じられるギフトが増加している。なかでも中元・歳暮については、かつては儀礼やしきたりに則り、「贈るモノ」よりも「贈るコト(行為)」自体が重視されていたが、近年では家族や親しい人に中元・歳暮を贈る人が増え、中元・歳暮の贈答がカジュアルな「プレゼント」となってきており、相手を想い選んだもの、こだわったものをギフトとして選ぶといった、贈るモノを重視している傾向が見受けられる。
また、カタログギフトの分野においても、カタログギフトの最大の特徴でもある汎用性が、逆に当たり障りがなく、あまり心に残らないといった印象を持たれることもあり、贈る側の心遣いやこだわりが感じられる特化型カタログギフトの人気が高まっている。ギフト専門店においても、メーカーが用意した、いわゆる予めセット詰めされている箱モノギフトではなく、店頭にあるいくつかの商品アイテムを組み合わせて同梱するなど、贈られる相手に合わせて商品アイテムを選び、その人のためだけに組み合わせたオリジナルギフトを贈るケースが増えてきているとしている。(編集担当:慶尾六郎)