オンライン発のブランド&事業開発も EC事業の成長戦略 オンワードHD

2016年10月12日 16:14

 オンワードホールディングスが、今年4月に発表した中期経営計画(~2019年2月期)で、海外事業とともに事業拡大の柱に据えたのがEC事業。2017年上半期が終了し、グループ全体の通期業績予想が下方修正された一方、国内・海外ともに期初の売り上げ計画(150億円)を達成する見込みだ。売り上げシェアは現在、グループ全体の5%ほどだが、オムニチャネル時代の成長分野として、リアル店舗との強固な連携や、ネット基盤を軸にした新事業にも積極的に取り組む。11日に行われた2017年2月期中間決算発表でのEC事業に関する保元道宣社長のコメントは下記の通り。

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 今年4月に発表した中期経営計画(http://www.onward-hd.co.jp/ir/docs/20160411_2.pdf)で、オムニチャネル戦略と海外事業戦略を柱に、既存のリアル店舗事業についても厳しい構えで取り組んできた。リアル店舗については、8月以降は特に(天候不順・台風などの影響が見られ)百貨店もショッピングセンター(SC)も、また郊外・都心に関わらず厳しい状況が鮮明になってきている。

 一方、EC事業については、国内・海外ともに上期計画を達成する見込み。通期でみても、中期3カ年計画・初年度売上計画にある150億円を達成できる見通しだ。今後は、既存のリアル店舗事業の構造改革を徹底することと、成長分野であるオムニチャネル戦略、そして経営資源をの集中を当初の計画以上にいかに加速させるかがポイントになる。

 現在オムニチャネル戦略の要になっているブランドは、おもにリアル店舗向けに開発したもの。それをECチャネルに乗せている格好で、これはほとんどすべてのアパレル企業がやっていることだ。私たちにとってもこれはまだ第1段階であり、既存の事業の利便性を考えると、EC上でもお買い上げいただく環境を整えることが重要であると考える。EC・オムニチャネルの基盤が整ってきたなか、今後はオープン戦略。この基盤をもとに新しい事業を創出することに重点を置いていきたい。ブランドにせよ何にせよ、オンラインから新しいものを生み出していくという時代に入りつつある。オムニチャネル戦略が第2段階に移行していく過渡期でもあり、そのための準備を半年かけてやってきたので、その成果が実る時が下期以降にやってくると見ている。

 事業拡大加速の一環として、M&Aにも積極的に取り組む。4月にはEC専用ブランド「ティア クラッセ」の全株式を取得した。この半年間、オンワードグループの持つ資源とのシナジー効果が着実にあらわれており、かなり高い利益率で成長を加速させている。今後もオンワードグループとのシナジー効果が見込まれるEC関連企業のM&Aを、国内・海外ともに積極的に進め、この分野での成長を加速させる。

 上期のEC事業については、国内21%増・海外22.7%増で、全体では21.1%増だった。計画比で9.3%増と順調に推移している。下期は国内28.8%増・海外39.1%増で、全体では29.3%増と上期の伸び率を上回る計画。通期売上高は前年の119億円に対し、25.7%増の150億円を見込んでいる。まだまだ満足していないが順調に規模を拡大し成長を加速させる準備はできている。

 オンワードの自社EC「オンワードクローゼット」の売り上げ構成比は全体の85%。自社EC比率は国内のアパレル関連企業の中でも非常に高い。顧客データを直接入手する必要があるとして、7年前にEC事業に参入した。そこから計画的に外部モールへの出店を制限し、直営EC中心に運営してきた。この考えは基本的には変わらないが、今は在庫を一元化しつつ、外部ECモールとのデータだけを連携する仕組みが整ってきたので推し進めたい。すでに百貨店系のECモール、ゾゾタウン、マガシークなど約10サイトに出店している。在庫を一元化したことにより、事業の効率化が損なわれることもないので、新しいお客様との出会いを作る意味でも、他社ECモールとの乗り入れを進める。

 「オンワードクローゼット」においては、チャコットやクリエイティブヨーコ、サクラ、ティア クラッセなど、グループ会社の商材の取り扱いを拡大する。加えて、オンワードグループ以外の商材も取り扱う計画で、オンワードのお客様と親和性の高い商材には、我々のサイトに出店をしていただき、販売手数料によるマーチャントビジネスも視野に入れている。その基盤となるオンワードメンバーズ会員は140万人に届こうとしているが、中期(2019年2月期)は300万人にまで拡大する。

 ECでしか買わないお客様に対しては、百貨店やSCと協力し、ポイントなどインセンティブなどを活用しながら、時にはリアルなショッピング体験をしていただけるよう主導していきたい。リアル店舗が苦戦するなか、集客力アップのためにもオンワードメンバーのデータを活用したい。また、海外ではジョゼフのEコマースが好調で、欧州のECモールへの出店を強化。中国においてもTモールはじめ外部モールへの出店を進める。

 グループの中核を担うオンワード樫山も、EC売り上げ見込みを大幅に上方修正した。オンワード樫山は長年の間、百貨店を主販路にリアル店舗事業を行ってきたが、規模も大きい分、小売り事業に対するアゲンストの風をまともに受けやすいのも事実。これからは、長年積み上げてきたブランドや経営資源といった強みを生かし、オムニチャネル時代に即した大胆な事業構造の改革を徹底的かつスピーディーに行う。我々の強みを引き出しながら、オムニチャネル時代にフィットした事業構造改革を組織体のあり方含めて見直す。これは、企画・生産・営業・販売・物流・管理・人事すべてにおいてだが、長年事業をやってきた会社にとっては非常に大変なことでもある。しかしこれをやり抜くことによって、新しい成長をできることに期待したい。グループ全体で取り組みたい。

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