NYの視点:ハードBREXITへの脅威
2016年10月12日 07:35
*07:35JST NYの視点:ハードBREXITへの脅威
外為市場でポンド売りが止まらない。先週、7日に英国のメイ首相が「ハードBREXIT」を警告したことがポンド売りに拍車をかけた。メイ首相は英国のEU離脱における交渉で域内無関税の欧州単一市場のアクセス継続より、移民の流入制限を優先する姿勢を明確にした。首相の金融業界を特別扱いしないとの意向を受けて、金融機関の幹部は英国のEU離脱が金融市場の混乱や銀行のコストを膨らますと警戒している。
イングランド銀行(英中銀)の金融行政委員会(FPC)メンバー、アニル・カシャップ氏は、「ハードBREXIT」と呼ばれる欧州連合(EU)単一市場(Single Market)のメンバーシップを断念することになれば、ポンドの価値は一段と下がると警告した。11日付英国The Times紙によると、離脱の際に何らかの考慮がなければ、英国財務省は1年につき最大で660億ポンド失うことになり、英国経済のoutput(生産)は今後15年で7.5%縮小することになると警告している。
ポンドは明らかに「ハードBREXIT」を恐れた動きとなっている。イングランド銀行(英中銀)のソーンダースMPC委員は議会証言において「一段のポンド安にも驚かない」とコメント。ポンド安容認ともとれる。ポンド・ドルが7日のフラッシュクラッシュ時の安値1.1841ドルに達するのも時間の問題かもしれない。《NO》