介護ベッドと電動車いす、温水洗浄便座の事故に注意
2016年10月9日 20:38
高齢化社会の昨今、福祉用具産業の市場規模は2014年度で1兆3995億円と、09年度から伸びが続いている(日本福祉用具・生活支援用具協会調べ)。しかし介護用品の市場規模が大きくなるのと同時に、製品事故も報告されることとなった。今回独立行政法人製品評価技術基盤機構が発表した資料によると、11年度から15年度の5年間に、介護ベッドや電動車いす、それに温水洗浄便座に関しての製品事故が97件あった。
介護ベッドに関しての53件の事故は、一番多いのが「すき間」に体の一部をはさんだことによるもの。「すき間」には、ヘッドボードやサイドレール(柵)、ベッド用グリップ(手すり)のものがある。利用者の頭部が介護ベッドのそれらのすき間に挟まることにより亡くなったという例が多い。介護する人は、介護ベッドやその周囲に頭・首・手足が入り込みそうなすき間がないか確認することを製品評価技術基盤機構はすすめている。
電動車いすは、高齢者の行動範囲を広げるなどプラスの側面がとても多い乗り物だが、操作ミスなどによる事故も5年間に28件起きている。内訳としては、側溝や斜面に転落するほか、踏切内で電車と接触するといった事故も多い。踏切内では、脱輪、線路の溝にタイヤが挟まる、製品の電池が切れる、持病などにより意識を失うなどの原因で線路内にて立ち往生することで電車にはねられるということが起きうる。同機構は、操作時に路肩に寄り過ぎないことや踏切の横断をできる限り避けること、また体調不良時に運転しないなどを対策のポイントとしてあげている。
温水洗浄便座の事故としては、16件があげられた。内容は、低温やけどで重傷・軽傷を負っている例が多い。皮膚感覚が弱い高齢者が温度調節「高」にしてある便座に長時間座ると低温やけどになる可能性がある。したがって、温度調節を「低」にするか、使用直前まで温かくして使用中は「切」にしておくことを同機構は注意喚起している。
高齢者にとって便利な3つの介護用品だが、製品事故にはくれぐれも注意して使用をすすめたい。(編集担当:久保田雄城)