2016年のノーベル物理学賞は、位相幾何学を用いて物質の相転移を研究した3氏に

2016年10月5日 20:06

headless 曰く、 2016年のノーベル物理学賞は、半分を米ワシントン大学のDavid J. Thouless氏が受賞、もう半分を米プリンストン大学のF. Duncan M. Haldane氏と米ブラウン大学のJ. Michael Kosterlitz氏が共同受賞した。授賞理由は位相幾何学的な相転移と物質の相の理論的な発見(プレスリリース)。

 Kosterlitz氏とHaldane氏は1970年代、超流動や超伝導が薄い層では起こらないという当時最新の理論を覆した。彼らは低い温度で超伝導が起きることを実証し、より高い温度で超伝導を失わせる相転移のメカニズムを説明した。Thouless氏は1980年代、以前行われた非常に薄い導体の層を使用する実験で、コンダクタンスが整数のステップとして正確に測定できることを説明。性質上、これらの整数が位相幾何学的であることを示した。これと同時期にHaldane氏は、一部の物質中にみられる鎖状に連なった小さな磁石の特性を理解するため、位相幾何学の概念が利用できることを発見している。

 3氏は高度な数学的手法を用い、超伝導や超流動、磁性薄膜といった物質の特殊な相を理解する道を開いた。現在ではさまざまな相が知られており、この分野が物性物理学の先端研究を拡大している。現在の研究は3氏の発見した見知らぬ世界における物質の秘密を解き明かすものであるとのことだ。

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