アレルギー疾患のカギとなるタンパク質を発見
2016年10月2日 12:03
千葉大学は大学院医学研究院の中山俊憲教授の研究グループが難治性アレルギー疾患発症のカギとなるタンパク質を発見し、そのメカニズムを解明したと発表した。難治性のアレルギーとは喘息や好酸球性副鼻腔炎である。喘息に関しては患者数も多く、広く知られているアレルギー疾患のひとつかもしれない。そのような多くの人を悩ませているアレルギー疾患のメカニズムが解明されることで、発症を抑える治療法の確立が期待されている。
同研究結果の概要によると、喘息や好酸球性副鼻腔炎のアレルギー疾患などはCD69分子を発現した病原性免疫細胞が血管から外に出て、炎症組織に到達することにより発症する。炎症組織とは喘息の場合は肺などの呼吸器にあたり、ここが炎症を起こすことで咳や痰、息苦しさなどの症状が現れる。この免疫細胞が血管の外に出ることを助けるタンパク質(Myl9/1分子)の存在が同研究で発見された。
また、このタンパク質(Myl9/12分子)が構築する「ネット様構造(Myl9 nets)」は病原性免疫細胞が血管から出る際のプラットフォームのような役割を果たすという。この動きは「CD69-Myl9システム」と命名され、慢性炎症疾患の慢性化や難治性の根本的要因になっている可能性も示唆された。
以上のような研究結果をもとにした、新しい治療法の確立と実用化に向けての開発は着実に進行している。CD69分子とMyl9/12分子の相互作用を阻害する抗体を喘息のマウスに投与したところ、喘息が全く起こらないことがわかった。さらに企業との共同開発研究でヒトへの投与が可能なヒト型抗体の作成には既に成功しているという。(編集担当:久保田雄城)