増加する「サ高住」の事業者に介護施設並みの情報公開を求める その背景は

2016年10月2日 12:28

 高齢者が安心して暮らせるように2011年10月に開始した「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。居室は原則25平方メートル以上の広さで、バリアフリー構造だ。登録数は7月末で20万3,783戸にのぼり、大手企業を中心にサ高住事業を強化する動きが活発になっている。

 積水ハウス<1928>のグループ会社である「積和グランドマスト」は、東京と大阪に次ぐ3つ目の拠点を名古屋に開設。3大都市圏を中心に事業を拡げ、19年までに累計5,000戸の運営を目指すという。

 また、パナソニック<6752>のエコソリューションズ社エイジフリービジネスユニットの傘下である「パナソニック エイジフリー」は、サ高住「パナソニック エイジフリーハウス」の中部地方初展開となる施設を含む3拠点を10月からオープンする。首都圏と近畿圏を中心に拠点を拡大してきたエイジフリーハウスが中部地方にも進出し、18年度には累計150拠点へ拡大するという。

 サ高住は一般的な賃貸住宅よりも高齢者が生活しやすく、借りやすいというメリットがあり、住み慣れた地域に住み続けやすいという点も支持を得ている理由の1つだ。

 ところが、サ高住はスタッフの体制やサービスの内容などの詳細な運営実態がほとんど公表されておらず、賃貸物件としての情報にとどまっており、入居希望者からは情報が不十分として不満が出ていた。質のばらつきも指摘される中、国土交通省はサ高住の情報をインターネットで公開する仕組みを始めることにした。

 公開情報の統一基準を国交省が設けて、都道府県の物件サイトに運営情報の欄を新たに加える。それをクリックすると、入居者の年齢別人数や重度認知症の受け入れの可否など約60項目を確認できるようにするという。

 公表内容の第三者評価については、事業者側の申請があれば高齢者住宅推進機構のチェックを有料で受けられるようにする。情報公開も第三者評価も任意とのことだが、情報公開に積極的であるか否かも物件を選ぶ際の重要なポイントになるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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