三井不動産、老朽マンションを一棟丸ごと再生、「リファイニング建築」を活用
2016年9月17日 22:40
三井不動産は、株式会社青木茂建築工房と業務提携し、同社のリファイニング建築という建築手法を活用して、築年数の古い旧耐震基準建物等の老朽化不動産の再生コンサルティングサービスを開始した。サービスの名称は、「老朽化不動産再生コンサルティングサービス」だ。
老朽化した不動産の再生に当たっては、多くの場合その耐震性が大きな問題となるが、耐震化が進まない大きな理由のひとつは、旧耐震基準建物では、競争力低下により事業継続が困難となる場合が多いこと。
賃貸不動産オーナーにとっては、耐震補強を行っても賃料収入が上がらず、資金回収ができないという問題がある。同社が進める今回のサービス事業により、築年数によらず賃料の改善を実現し、耐震化とともに資金回収ができる賃貸不動産への再生を可能とする。
具体的なサービスは、三井不動産と青木茂建築工房が業務提携して、老朽化した賃貸マンションを集合住宅の一棟再生実績で豊富な青木茂建築工房のリファイニング建築の手法を活用しして再生するというもの。
リファイニング建築は、一度駆体だけ残した状態まで解体し、外装内装・設備などを新築と同棟レベルの建築に再生する手法。完全に解体して新築物件に建て替える場合に比べ、コストが60~70%で済む。この経済性の高さが大きなメリットだ。
耐震性に問題がある建物は、軽量化や居住者の眺望や外観を損なう耐震ブレースを使用しない独自手法で補強し、現在の耐震性能を持たせる。今回発表した事業において、相続や権利関係の調整なども行なうという。また、当然ながら確認申請や検査済み証書の取得なども含む。三井不動産グループの総合力でワンストップサービスを完結させる。
三井不動産は、本事業を通じてグループ各社と連携した老朽化不動産の再生事業を本格的に進めることとなり、現在既に2件(東京都練馬区、東京都大田区)の賃貸不動産再生案件が事業推進中だ。
改修後の建物は、賃貸事業の安定化を目的に三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを行ない、長期融資の枠組みも活用できることから、賃貸事業としての再生の可能性が高める。
耐震補強を含めた改修工事は、三井不動産リフォームによる施工も可能であり、老朽化不動産の再生に当たって、三井不動産グループがワンストップでソリューション提供する。
三井不動産は、この事業により耐震化に関する問題点を解決することで、国、都が掲げる耐震化率の目標達成や減災に寄与するとともに、近年問題視されている空き家問題の解決や、欧米諸国と比較して低い水準にある中古住宅の流通促進といった、これまで既存ストックの活用でネックとなっていた様々な問題解決の糸口にしたいとしている。(編集担当:吉田恒)