来年から対象者拡大「個人型確定拠出年金」のメリットとデメリット
2016年9月17日 11:22
「個人型確定拠出年金(個人型DC)」は、第1号保険者である自営業者や、勤務先に会社型確定拠出年金や厚生年金基金のない第2号保険者のサラリーマンが加入できる年金で、法改正により2017年1月から現役世代のほぼ全員が加入できるようになる。新たに加入の対象者となるのが、公務員や第3号被保険者の専業主婦、勤務先に会社型確定拠出年金や厚生年金基金があるサラリーマンの計約2600万人。
個人型DCは、毎月の掛け金の「全額」が所得控除の対象であり、年金保険料として支払った金額×税率分が還ってくる。一般的な生命保険の控除と比べても節税効果が大きい。課税所得が700万円の人の場合(限界税率30%)、月々20,000万円を拠出すると年間拠出額24万円のうち30%にあたる72,000円が還付される。年収が多い人、累進課税率が高い人ほど節税効果が大きくなる。
ちなみに、保険会社の個人年金は支払った保険料の全額が所得控除されるわけではない。12年以降の個人年金契約の場合、所得税は最大40,000円、住民税は最大28,000円までしか控除されないのだ。
自分で掛け金の運用先を選び、運用成績によって将来受給できる年金額が変動するという点も個人型DCの大きな特徴である。また、個人型DCとして年金を60歳以上で受け取る際には、年金であれば公的年金等控除、一時金であれば退職所得控除を受けられる。個人単位で管理されているため、破綻のリスクとも無縁だ。自己破産した場合に年金を受け取ることができるのも、セーフティーネットとして大きく貢献している。
一方、途中で解約して年金を受け取ることができないという注意点もある。掛け金の変更ができるため、経済的に苦しくなったら掛け金を減らす必要が出てくる。また、加入時には2,000~6,000円の手数料や、月々数百円程度の口座管理手数料等など、わずかながらも負担がある。
個人型DCは「国民年金基金に手一杯」「運用先を選ぶっていうのがよくわからない」などの理由で敬遠されている印象があるが、節税効果が大きいことから法改正を機に利用者が増えそうだ。(編集担当:久保田雄城)