どうなる日本の半導体産業 ルネサスが生き残りをかけ米インターシルを買収 アナログ市場の拡大を目指す

2016年9月16日 08:14

かつてメモリを中心に世界を席巻した日本の半導体産業だが、今やその面影はない。韓国、台湾に加え中国勢まで台頭し、日本は衰退の一途をたどっている。今回、ルネサスエレクトロニクス<6723>が生き残りをかけ、米国のインターシルを買収する。

 ルネサス エレクトロニクスと米Intersil Corporation(インターシル)は、ルネサスがインターシルの株式を1株当たり22.50米ドル、買収金額は約32億米ドル(1米ドル100円換算で約3,219億円)で現金買収する最終契約を13日に締結した。この買収は、両社の取締役会にて全会一致で可決された。買収完了は、インターシルの株主総会における合併の承認および関係当事国において必要となる承認の取得を前提としており、2017年上期中を予定している。

 各市場で長らくマーケットリーダーの立場にあるルネサスとインターシルが買収を通じて、両社が有する先端技術やエンドマーケットに対する深い専門性を組み合わせることで、ルネサスはユーザーにとって重要な組み込みシステムを提供できるソリューションプロバイダーとなる。

 ルネサスは、同社が高い実績を誇るマイコンやSoCなどの技術に加え、インターシルが業界トップクラスの実績を持つパワーマネンジメントICと高精度アナログを活用し、自動車、産業、クラウドコンピューティング、ヘルスケア、IoT(Internet of Things)などの主要分野において、魅力的な市場機会を享受できる存在となるという。

 買収によって実現する製品面での大きなシナジーと顧客面・地域面の補完性により、ルネサスはグローバルな事業展開の促進が可能となりユーザーのシステム要求に対するルネサスの対応能力を高めることができるとしている。買収を通じ、ルネサスのビジネスの対象となる製品ラインアップが拡大し、2020年までにアナログ市場においては約39億米ドル(1米ドル100円換算で約3,900億円)拡大することを見込んでいる。

 また、ルネサスは、短期的および中長期的な売り上げ機会の増加に加え、事業基盤の拡大によるコスト削減により、170百万米ドル(1米ドル100円換算で約170億円)規模のシナジー効果の発現を見込んでいる。ルネサスの売上総利益率および営業利益率は本買収の完了後に早期に向上し、Non-GAAPベースの一株当たり純利益(EPS)とフリーキャッシュフローも増加するとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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