2015年度国内クラウドファンディング市場規模、前年度比68.1%増

2016年8月30日 08:05

 個人や法人がプロジェクトに必要な資金調達の手段として、不特定多数の人々からインターネット上のプラットフォームを経由して出資を募る「クラウドファンディング」を用いるケースが増加している。現在の国内市場は投資(エクイティ)型、購入型、寄付型、貸付型、「株式(投資)型」により構成される。クラウドファンディングは海外では、既に大きな市場を形成しており、2014年時点の世界市場は162億ドル(約1兆6,500億円)規模となっている。日本でも14年には金融商品取引法等の改正により取引業者の参入障壁の引き下げるなど、クラウドファンディングの環境整備を実施。直接的に資金提供者と資金需要者が結ばれる究極的な直接金融として市場活性化が期待されている。

 こうした背景のもと、矢野経済研究所は15年度における国内クラウドファンディング市場規模に関する調査を実施した。調査結果によれば、15年度の国内のクラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで、前年度比68.1%増の363億 3,400万円となった。うちわけとしては投資型で約6億円、購入型で約32億円、寄付型で約1億円、貸付型で約322億円となっている。目を引くのが全体の88.7%を占める貸付型で、超低金利・マイナス金利時代において好利回りを求める支援者が今後も増加する見込み。購入型では支援額ベー スで9.0%だが、サイバーエージェントグループの運営するプラットフォーム「Makuake」では、今年に入って東芝、JVCケンウッド、タカラトミー、エーザイがプロジェクトを開始するなど、資金調達や事業継続の目的とともに、テストマーケティング、販促活動としても活用される場となっている。

 16年度の国内のクラウドファンディング市場規模は前年度比で31.5%増の477億8,700万円と見込まれており、依然として拡大基調にある。このうち購入型では約58億円(81.3%増)と大幅な市場規模拡大が予想されており、認知度の高まりや案件数の増加に加え、既存の小口投資だけでなく数千万円台~1億円規模の大型プロジェクトの成立も増加している。こうしたクラウドファンディングの進展は、今後資本市場の拡大にも影響を与えると考えられる。(編集担当:久保田雄城)

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