世界が注目する日本のリニア。3兆6022億円の追加融資が閣議決定
2016年8月27日 19:55
8月24日の臨時閣議で政府が決定した、事業規模28.1兆円の大型経済対策を柱とする2016年度第2次補正予算案によると、歳出の規模は一般会計で4兆1143億円。東日本大震災復興特別会計などを含め、4兆5221億円の新たな財政支出となった。財源は、公共事業などに用途が限定される建設国債2兆7500億円国債をはじめとする、国債の追加発行によって賄う。
また、今回注目されたのは、国が政府系金融機関などを通して資金を供給する「財政投融資」。2027年の東京―名古屋間開通に向けて建設の進むリニア中央新幹線の大阪への延伸時期を最大で8年前倒しするため、16年度当初計画に3兆6022億円を追加することを決定し、秋の臨時国会に提出する見通しだ。これにより、いよいよリニア新幹線時代の到来が現実味を帯びてきた。
日本のリニア新幹線の開通は、世界的にも注目を集めている。2015年4月21日には、東海旅客鉄道が山梨県で実施した超電導リニア車両の有人走行試験において、世界最高速となる時速603キロメートルを記録し、その技術力に世界から称賛の声が上がった。日本人としてはもちろん、大変名誉で誇らしいことではあるものの、日本の国民性としてはスピードよりもむしろ、日本の鉄道技術が有する安全性と快適性こそが重要視するところではないだろうか。どれだけ速度が早くても、事故や故障が多発したり、車内が激しく揺れて不快だったりすれば、意味がない。
日本の新幹線が世界的に高い評価を受けている理由もここにある。1964年10月1日の開業以来、50年以上の長期にわたって、新幹線自身の性能等が理由で列車に乗車中の乗客が死亡する事故はただの一つも発生していない。また、山やカーブの多い日本の地形においても、スピードを落とさず、且つ車体の揺れもほとんど乗客に感じさせずに快適に走行する技術。この鉄道技術は、世界の鉄道会社もこぞって視察に訪れているほどだ。
例えば、新幹線をはじめとする日本の多くの鉄道車両の台車には、自動車用の防振ゴムで世界トップクラスのシェアを誇る住友理工<5191>の鉄道車両用防振ゴムが採用されている。高速走行の車内でも乗客が快適に過ごせるのは、優れた鉄道車両用防振ゴムのお陰だ。
また、東日本旅客鉄道株式会社が独自に開発した列車制御システム「デジタルATC」は、地上側から先行列車の位置をデジタル信号で伝送し、それを受けた車両側で曲線や勾配などの線路条件を考慮した最適なブレーキ制御を行うことができ、安定した走行と快適な乗り心地に寄与している。
世界最速と、世界最高水準の安全と快適性。リニア新幹線が開通すれば、日本の鉄道と、そこに採用されている高度なものづくり技術は、また世界からの大きな注目を集めるに違いない。日本経済を加速させることにも貢献しそうなリニア新幹線の開通が今から待ち遠しい。(編集担当:藤原伊織)