日本運動疫学会、ポケモンGOなど身体活動を促進するゲームの普及推進へ
2016年8月27日 17:12
国民の運動や身体活動と健康に関する研究・促進活動を行っている日本運動疫学会が、位置情報を活用したARゲーム「ポケモンGO」を評価し、こうした身体活動を促進するゲームの開発・普及を期待する旨の声明を発表した。
同声明では2016年7月に発表された医学誌「ランセット」から、世界的な身体活動不足が深刻化し健康に悪影響を与えているとの内容を取り上げ、これに対してポケモンGOなどの身体活動を促進するゲームが健康に対してポジティブな影響を与える可能性があるとしてる。身体活動不足については、わが国でも疾患や老化、QOLの低下と関連する危険因子として捉えらえており、13年には政策として「健康づくりのための身体活動基準2013・身体活動指針(アクティブガイド)」が策定されるなど重要視されている。
健康維持促進の観点から評価されているポケモンGOは、外に出て歩くことでゲームを進めていくゲーム内容となっている。運動量の増加により「肥満の予防、骨粗しょう症の予防、更年期障害の改善、筋肉量の増加、意欲向上、睡眠の質向上」など様々な効果が期待できる。
アメリカの調査会社によれば、ポケモンGOの平均利用時間は33分25秒と、厚生労働省の推奨する「1回30分の運動を週2回以上することや、1日20分程度のウォーキング」の要件を満たしている。歩くことに加え、ゲームによって脳の報酬系が刺激され「ドーパミン」の分泌が促されるため、意欲が向上することもわかっている。
カナダ放送協会電子版によると、カナダでは社交不安障害で7年間自宅に引きこもっていた女児が、ポケモンGOによって、街に出かけることが可能になったとのこと。これ以外にも鬱病や社交不安障害、強迫神経症や依存症といった精神疾患に悩む人がポケモンGOをやるようになって症状が改善した事例が出てきているという。(編集担当:久保田雄城)