拡がる電力自動化。2024年にはスマートメーターが家庭で主流となるか
2016年8月20日 20:43
2016年4月から始まった「電力自由化」。電気はこれまで大手電力会社の独占的な市場だったが、この電力自由化によって、消費者が自分の家庭に合った料金プランや、よりクリーンな電気を供給している企業を自由に選び、契約できるようになった。
例えば、大阪ガスや東京ガスのようにガスとセットになったプラン・サービスの提案や、地域密着型の新電力を提唱するウエスト電力、福岡県みやま市のみやまスマートエネルギーのように電力の地産地消を勧める企業など、ひとくちに新電力会社と言っても様々な業態や、サービスがある。
しかし、一般消費者が電力会社を自由に選択するのは、まだまだ難しいのが現状ではないだろうか。今まで「電気を選ぶ」という概念が無かっただけに、浸透するには時間がかかりそうだ。また、家庭で使っている電力に対して詳細に把握している人も少ないので、新しいサービスやプランが提示されても、結局のところ、どれが一番お得なのかわからない。結局、現状の電力会社で継続している家庭も多いと思われる。
そんな中、HEMS(Home Energy Management System)とともに家庭への導入が急速に進んでいるのがスマートメーターだ。スマートメーターは、HEMS等を通じて電気使用状況を見える化ができる電力量計で、利用者の節電意識を高めたり、月々の検針業務の自動化や電力会社の人件費削減なども含め、供給する側、供給される側双方のメリットが期待されている。
経済産業省もエネルギー基本計画においてスマートメーター導入を促進しており、現在、約2000万台とみられる全国のスマートメーター導入数を、2024年度までに8000万台に拡大する見通しだ。
関連する企業や団体も、スマートメーターの導入がよりスムーズに進み、市場が形成できるよう努めている。例えば、スマートメーターで構築するネットワークには、低消費電力で通信距離に優れる「Wi-SUN」が採用されており、家庭内ネットワーク(HAN)も含めて Wi-SUN通信搭載機器が活躍するシーンが増えている。そのような動きの中、通信事業者や電力事業者含む約100社からなる Wi-SUN Allianceに主導企業である”プロモーター”として参画しているロームなどはとくにWi-SUNの展開・普及に積極的で、先日もWi-SUN通信に最適な、業界最小モジュールを発表し、業界の注目を集めている。
今回開発された「BP35C0」は、業界トップクラスの受信感度を持つ 920MHz帯無線通信機能(RF)とマイコン、Wi-SUNに最適な大容量メモリを内蔵するラピスセミコンダクタ製無線通信LSI「ML7416N」を搭載した、アンテナ外付けの小型面実装Wi-SUNモジュール。一方、「BP35C2」は、BP35C0を搭載した USB ドングルタイプの製品で、ホームゲートウェイなど IT 機器のUSB端子にそのまま後付けすることで、簡単に Wi-SUN環境を構築することができるという。ネット販売も開始しており、手軽に購入が可能であり、多様な機器のWi-SUNネットワーク化に対応できるという。
製品の開発や環境の構築が簡単になれば、それだけ最終製品であるスマートメーターの普及や新しい追加機能などの開発にも大きく貢献するだろう。スマートメーターが普及すれば、家庭にも環境にも優しい省エネ生活を送ることが容易になる。2024年度の8000万台目標も大きく上回ることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)