大人になった今だからこそ違う視点で楽しめた「 となりのトトロ 」
2016年8月16日 18:13
記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ
小さいころから何度も見ていて、もう内容もほとんど覚えている。だから最近はあまり真剣に見ていないなー。そんな作品、結構たくさんあるんじゃないでしょうか。
筆者にとって、そんな作品は「 となりのトトロ 」でした。
母親の入院を機に田舎に引っ越してきたサツキとメイ。
突風が吹けば吹き飛んでしまいそうな古い家屋の中にはまっくろくろすけ。
やがて出会う不思議な生き物、トトロ。
優しいお隣のおばあちゃんや、ちょっと素直じゃないカンタ。
いつか乗ってみたい、ネコバス。
こう書き連ねただけで、キャラクターの顔が浮かんでくるんじゃないでしょうか。
話の内容もさっと浮かぶ人もいらっしゃるでしょう。
しかし「昔から何度も見てるから」を理由に、ここ数年はまじめに見ることもなかったこの作品。子どもたちのためにDVDを購入し一緒になって見てみると、昔とは違う感想が浮かんできました。
■サツキちゃんもメイちゃんも可愛い!
筆者が一番最初にこれを見たのは、確か小学校に上がったばかり。最初のテレビ放送の時でした。
メイちゃんほど小さくもなく、サツキちゃんほど大人びてもいなかった自分は、メイちゃんの自分勝手に思える言動が苦手でした。
ですが今見ると、「あー、等身大の4歳だなぁ!」と思えて非常に可愛い!!
私事で恐縮ですが、上の娘が今まさに4歳。メイちゃんと同じような動き、話し方、強がりを見せています。
突然知らない人に会うと慌てて逃げてしまうところや、なんでも「メイも!メイもー!」と先を争うところ。
外出でなくてもお弁当を作ってもらうと喜ぶところや、花を摘むときに首だけ持ってきてしまうところ。
見ていると「うちの娘と同じだ」と思えて可愛くて、よくぞここまで等身大の4歳を描けるなぁ!と感動すらしてしまいました。
そしてサツキちゃん。当時の筆者から見るとものすごく大人に思えた彼女ですが、母となった今見返してみるとどうやってこんなしっかりした子に育てたのご両親……!とそっちに意識が行きそうになります。
彼女はすごい。なんてったって12歳でちゃんと朝目を覚まし、雨戸を開け、七輪に火をつけてメザシを焼いたりかまどに火をつけて煮炊きできる。
製作当初は10歳の設定だったというのでなおさらすごい。
サツキちゃんは不在のお母さんの代わりに、メイちゃんの育児もしているんだろうなぁとも思うのです。
お父さんが穏やかで諭すような話し方をする分、彼女が鞭の部分を務めつつ母性で接する。
その緊張の糸が七国山病院からの電報をきっかけに弾けたときは、「そうだよねぇ、いつも頑張ってるんだもんなぁ。不安だよなぁ」と胸が痛くなりました。
さらにこの時のメイちゃん。行方不明になって騒ぎになってしまいますが……。
おばあちゃんに大声で泣くサツキちゃんの姿に、ここで初めてお姉ちゃんもお母さんのことで不安なんだと気付き、お姉ちゃんを守るためにお母さんの所へ行こうとしたんですよね。
ある種、母性が目覚めた瞬間でもあるのかなと思いました。
昔はこの流れがよく分からなかったんですが、今見ると子どもの心の動きが細かく描かれてるなぁとため息が出ます。
■お父さんは気付いていたのでは?
さらに今になって見返した感想として、お父さんはトトロたちに会ってはいなくとも、その存在にはやはり気づいていたのではないかなと思います。
トトロにもらった種が大樹となった夜、急に陰った月の光に顔を上げたお父さん。
さらに音の外れたオカリナの音に、仕事をしながら微笑みます。
最初からメイちゃんの言った言葉も肯定し、さらに迎えに来ていた姉妹の言葉もおそらく受け入れたお父さん。
あの夜もトトロたちとの交流に気付きながら、子どもの頃だけの特権を静かに見守っていたのではないかなと思います。
「もう見飽きるくらい見た」と思っている作品ですが、あらためて見てみると昔とは全く違う印象を受ける作品。筆者の中でそれはこの「となりのトトロ」でしたが、ほかにもきっとそんな作品はあるはず。
これを読んだあなたにも、意外と身近にあるのかもしれません。
もう何度も見たはずの「 風の谷のナウシカ 」。あなたは本当に「ナウシカ」を知っていますか?
(あにぶ編集部/井之上)
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