スパコン「京」と最新鋭気象レーダを生かしたゲリラ豪雨予測が登場
2016年8月12日 11:13
日本は四季の変化に伴い、天候も多彩に変化する。毎日の天気予報は生活に欠かせない情報の一つである。日本で最初の天気予報は、1884年(明治17年)6月1日午前6時に発表された。その内容は「全国一般風ノ向キハ定リナシ 天気ハ変リ易シ 但シ雨天勝チ」という大まかなものだったという。その後、気象現象の理解、コンピュータの出現による数値計算での気象予測の実現、気象衛星による高度な情報収集などの発展を経て、現代の天気予報が確立されている。
現在のスーパーコンピュータを使った天気予報シミュレーションは、方眼紙のように日本全体を縦横1kmより大きなマス目に分割し、1時間ごとに新しい観測データを取り込みながら行っているという。しかし、ゲリラ豪雨のように、わずか数分の間に積乱雲が急激に発生・発達するような現象を予測するには、桁違いに短い時間間隔で新しい観測データを取り込む必要がある。また、1kmより大きなマス目では、ゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲を十分に表現できないからだ。
そこで、理化学研究所計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正チームリーダーと情報通信研究機構、大阪大学らの国際共同研究グループは、理研のスーパーコンピュータ「京」と、「フェーズドアレイ気象レーダ」という最新鋭の気象レーダを生かし“日本全体を100m単位の細かなマス目に分割した上で、30秒ごとに新しい観測データを取り込んで更新する”という、これまでとは桁違いに高精度な天気予報シミュレーションを実現し、実際のゲリラ豪雨の動きを詳細に再現することに成功した。
天気予報の根幹をなすのは、シミュレーションと実測データを組み合わせる「データ同化」と呼ばれる手法である。今回、従来とは桁違いのビッグデータを生かす「ビッグデータ同化」を実現したことで、これまで想像もつかなかったような高速かつ高精細な天気予報が可能となり、天気予報に革命をもたらすことが期待できるとしている。(編集担当:慶尾六郎)