田上富久・長崎市長、非核三原則法制化を政府に訴え
2016年8月9日 21:16
被爆から71年を迎えた8月9日、現地の長崎市で「平和祈念式典」が催され、原爆投下の午前11時2分から参列者全員が1分間の黙とうを行い、犠牲者のめい福を祈った。長崎市の田上富久市長は「核兵器は人間を壊す残酷な兵器。核兵器保有国をはじめとする各国のリーダー、世界中の皆さん。長崎や広島に来てください。原子雲の下で人間に何が起きたのかを知ってください。事実を知ること、それこそが核兵器のない未来を考えるスタートラインです」と長崎や広島への訪問を世界に呼びかけた。
また「核兵器保有国では、より高性能の核兵器に置き換える計画が進行中で、核兵器のない世界の実現がさらに遠のいてしまう」と危機感を示し「人類の未来を壊さないために、持てる限りの英知を結集してください」と発信した。
また日本政府に「核兵器廃絶を訴えながら、一方で核抑止力に依存する立場をとっている。この矛盾を超える方法として『非核三原則の法制化』とともに(核兵器の非人道性をよく知る唯一の戦争被爆国として)核抑止力に頼らない安全保障の枠組みである『北東アジア非核兵器地帯』の創設を検討してください」と求めた。安倍晋三総理は厳しい表情で田上市長の平和宣言に耳を傾けた。
田上市長は「核兵器の歴史は不信感の歴史」とも指摘し「世界に未だに1万5000発以上もの核兵器が存在し、戦争、事故、テロなどにより、使われる危険が続いている。この流れを断ち切り、不信のサイクルを信頼のサイクルに転換するためにできることのひとつは粘り強く信頼を生み続けること」と呼びかけた。
特に「我が国は日本国憲法の平和の理念に基づき、人道支援など、世界に貢献することで信頼を広げようと努力してきた。ふたたび戦争をしないために、平和国家としての道を歩み続けなければなりません」と訴えた。
また「私たち一人ひとり、国を越えて人と交わることで言葉や文化、考え方の違いを理解し合い、身近に信頼を生み出すことが国同士の信頼関係を築くための強くかけがえのない礎となる」と呼びかけた。(編集担当:森高龍二)