朝鮮学校への補助金停止要請通知撤回を―日弁連
2016年7月31日 14:48
日本弁護士連合会は今年春に文部科学大臣が朝鮮学校を区域に有する28都道府県知事に出した「朝鮮学校への補助金交付に関する留意点」とする、事実上の朝鮮学校への補助金停止要請通知は撤回するよう30日までに大臣に求めた。
「朝鮮学校に通う子どもたちが合理的理由なく他の学校に通う子どもたちと異なる不利益な取扱いを受けることは、憲法14条などが禁止する『不合理な差別的取扱い』に当たり、憲法の理念を反映させた教育基本法4条1項の『教育上の差別禁止の規定』にも反し、国際人権(自由権・社会権)規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約が禁止する差別にも相当する」と指摘。地方自治体に対しても「朝鮮学校に対する補助金支出について、憲法上の権利に配慮した運用を行うよう」強く求めている。
日弁連は「朝鮮学校に通学する子どもたちも、一市民として成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする学習権(憲法26条第1項、同13条)が保障されている。朝鮮学校は六・三・三・四を採用し、学習指導要領に準じた教育を行っている。朝鮮学校は歴史的経緯から日本に定住し、日本社会の一員として生活する、朝鮮半島にルーツをもつ在日朝鮮人の子どもたちが通う学校であり、民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として既に一定の社会的評価が形成されてきた(大阪高裁平成26年7月8日)」。こうしたことから『子どもの教育を受ける権利と何ら関係を持たない政治的理由で補助金の支給を停止することは、朝鮮学校に通学する子どもたちの学習権の侵害につながる』もので、問題としている。
日弁連は「全ての子どもたちが教育を受ける権利を平等に享受することができるよう、朝鮮学校に対する補助金交付の停止を、事実上、地方公共団体に要請している通知は撤回をするように」と求めた。(編集担当:森高龍二)