訪日外国人の購買行動分析でカード大手連携
2016年7月25日 08:18
訪日外国人旅行者(インバウンド)消費の伸びが続いている。昨年は訪日外国人旅行者数が過去最高で2000万人に届く勢いだったが、今年に入っても着実に伸びている。6月度の訪日外国人旅行者数は前年同月比24%増の199万人、上半期の累計では前年同期比28.2%増の1171万4000人となり、半年で初めての1000万人超えとなる。2016年4-6月期の訪日外国人の旅行支出は一人当たり159530円と前年同期に比べると9.9%減少したものの、消費額全体では9533億円と、前年同期比7.2%増であった。
増加する訪日外国人旅行者の消費動向を的確につかみ、インバウンド需要を効率よく消費に繋げるための取り組みが始まっている。経済産業省主導の取り組みでは、カード会社が規定する売り上げデータのフォーマットを統一して「地域経済分析システム(RESAS)(内閣官房・経済産業省)」に反映させる。この取り組みに参加するカード会社大手6社(ビザ・ワールドワイド・ジャパン、マスターカード、三井住友カード、三菱UFJニコス、ユーシーカード、楽天カード)は、連携してワーキンググループを運営。年内にはデータ標準化指針を策定する。RESASではすでにカード会社から提供されるビッグデータを集約して消費動向の分析・可視化を行っている。ただしフォーマットが統一されておらず業種や住所、売り場情報など判別しづらい情報があった。
他の取り組みとしては、乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を開発運営するヴァル研究所がナイトレイと提携してサービスを開始。ナイトレイのサービス訪日外国人解析サービス「inbound insight」にて「駅データプラン(β版)」をリリースし、訪日外国人にとって人気のある駅や国籍をランキング化した「人気駅ランキング」と、路線図上でのSNS投稿量を可視化したマップ「路線図×SNS投稿量Map」を提供する。訪日外国人旅行客の行動場所や移動経路、口コミなどをリアルタイム分析して行動傾向を明らかにすることで、マーケティング戦略立案をサポートする。
インバウンド消費の動向は自国の景気や流行りによって移行していくものであり、爆買いが減少する替わりにツアーでの消費が増えるといった現象が数年・数カ月単位で起こる。こうした消費の質の変化をビッグデータの分析により細かく把握し、インバウンド需要に対応していくことが、機会損失を減らした効率のよい消費に繋がると考えられる。(編集担当:久保田雄城)