15年度の地産地消モデルの電力小売事業の市場規模は売上高ベースで135億円

2016年7月23日 14:27

 矢野経済研究所では、国内の地産地消モデルの電力小売事業の調査を実施した。調査期間は2016年4月~7月、調査対象は地産地消モデルの小売電気事業者(地方自治体系、生活協同組合系、デベロッパー/エンジニアリング系等の事業者)。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2015年度の国内の地産地消モデルの電力小売事業の市場規模は、小売電気事業者の売上高ベースで135億円となった。2016年度は、家庭用等の低圧分野(50kW未満)の電力小売も自由化されたことから、各事業者が家庭用の電力小売販売も開始し、国内の地産地消モデルの電力小売市場規模は 240億円に増加する見込みであるとしている。2017年度の地産地消モデルの電力小売市場規模(同ベース)は 340億円、2020年度は530億円まで拡大すると予測している。

 地方自治体系の地産地消モデルの電力小売事業は、その自治体の首長の強力なリーダーシップにより事業が立ち上げられることが多いという。多くの場合、その自治体ではもともと環境意識が高く、RPS(Renewables Portfolio Standard)制度や FIT 制度とともに、太陽光発電システムや風力発電システム、バイオマス発電システム等の再生可能エネルギーの発電システムを導入したり、誘致したりしてきている。

 また、それらの自治体では、これまで再生可能エネルギーによる発電システムの導入によって、地方創生・再生、地域活性化(省エネ・CO2 排出削減、地域経済の活性化、産業振興、雇用拡大、災害対応等)に取り組んできている。なお、地域の再生可能エネルギーによる発電システムとしては、先ずは太陽光発電システムが取り組みやすく先行しているが、将来的にはその地域特性を活かすことが重要であり、バイオマス(木質、畜産等)や小水力、風力、地熱による発電など種々の取り組みが考えられているとしている。

 生協(単協)やその連合会では、各々にエネルギー政策等を策定してきており、特に東日本大震災後には省エネ・節電や脱原発の方針が掲げられるようになった。生協ではこれまでの事業において、安全・安心な食品等にこだわる産地直送のスキーム等で事業展開してきており、電力に関しても再生可能エネルギーを選択して使用していく方針である。

 もともと環境政策に積極的な生協では、従来から生協の物流拠点や配送センター等の施設に太陽光発電システムを導入してきている。ここで、生協の店舗等の施設で使用する電力について、再生可能エネルギーによる電力の比率を高めていくためには、他の小売電気事業者から電力を購入するよりも、自らが再生可能エネルギー比率の高い電力を供給する事業者になることを選択することとなった。

 生協における電力小売事業の展開は、自らの物流施設における太陽光発電システム等の発電電力も利用して、店舗等の各生協施設に再生可能エネルギーの比率が高い電力を供給することから開始されており、また、2016 年度からは、生協組合員向けの家庭用等の低圧分野の電力小売も開始されるように準備されているという。(編集担当:慶尾六郎)

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