【第23回香港ファッションウィーク春/夏(2)】日本にも熱視線 海外ブランドにフォーカス

2016年7月20日 10:46

 「第23回香港ファッションウィーク春/夏」では、地元香港や中国、インドを筆頭に、台湾や韓国、マカオ、日本など18カ国・地域から1,200余りのブランドが参加した。ここでは、米国を中心に世界的ブームになりつつあるアスレジャーやスポーツ、根強い人気の韓国ファッションなどを手がけるブランドを中心にレポート。世界の潮流をしっかりと掴みビジネスを仕掛ける出展者たちは、日本市場への進出にも意欲的だ。

TEAMJR「illuillu」(韓国)

 JayとRayの2人のデザイナー(TEAMJR)が今春立ち上げたレディスブランド。ポップでストリート感のあるコリアンスタイルを全面に出したウエアで、20代女性を主対象にしたカジュアルライン(50~70USドル)と、コンテンポラリーなコレクションライン(150~200USドル)の2レーベルを揃える。「ブランドのストーリーテリングが何よりも重要」と話すデザイナーの1人Jay(Joon gu Kang)氏(写真左上)は、ブランドコンセプトを表現するためのイラストレーションから、スタッフが出演するK-POPアイドルさながらのプロモーションビデオの制作まで手がける。SNSによるプロモーションはもちろん、アイドル歌手や女優など韓国のセレブリティーに着用してもらうバイラルマーケティングによる認知度アップにも力を入れる。現在はオンラインストアに加え、百貨店などへのポップアップストア出店も実現させた。  香港での展示会参加は、4月に続き2度目。アジアでの販路拡大を視野に入れ出展した。Jay氏は、「今世界中で流行している日本のスカジャンもそうだが、日本や香港のブランドはクラフトマンシップを感じ、個人的にはとても好きなんだ」としながら、「一方で韓国ブランドは、トレンドを素早くキャッチし、ファッションとビジネスを両立させることが強み」と話した。今回の見本市では、韓国のヤングファッションを強く打ち出したスタイルに、香港や中国バイヤーからの引き合いがあった。「取引目標額の10万USドルだが、まだまだといったところ」(同氏)。日本市場にも興味があるといい、「東京ガールズコレクションに参加してみたい」と意欲を示した。 ●http://www.illuillu24h.com/

CNC KOREA「AHIN-EDITION」(韓国)

 2007に設立した韓国のアパレル企業CNC KOREAが2013年に立ち上げたウィメンズブランド。ソフトでナチュラルな色合いをベースに、ハンドメイドで丁寧に仕上げたディテールやフェミニンなシルエットで、20代後半~40代までの幅広い客層を取り込んでいる。韓国ではソウルや大邱に店舗を持つほか、北京、広州にも取引先を持つ。日本でも関連会社のウィメンズブランド「1st.island」で百貨店やショッピングモールへの出店経験があり、「同ブランドでも日本の取引先を開拓したい」(同社)と話す。素材選びに一段をこだわりを見せており、今回の見本市では、中国を中心にアジアのバイヤーとコンタクトが取れたという。 ●http://ahinedition.com/

WAKINGBEE「WAKINGBEE」(タイ)

 タイから出展したのは、2015年に立ち上げた新ブランド「WAKINGBEE」。フェミニンなプリントを施したシンプルで洗練されたウィメンズフィットネスウエアで、スポーツブラとボトムスのセットや、タンクトップなどを揃える。価格はセットアップで90米ドル。「タイでは今、健康意識の高まりとともに、スポーツウエアもブーム」と同社。スマートフォン用ポケットの付いたボトムスも用意した。ヨガなどのフィットネススタジオを中心にタイ国内と台湾に取引先を持つが、世界各国のバイヤーと出会えることに魅力を感じ、同見本市に参加した。会期中は、香港や中国、米国、トルコなどから確度の高い引き合いがあったという。今年4月には、JFW-IFFにも出展したが、「“カワイイ”という評価はたくさんいただいたが(笑)、取引先はまだ開拓できていない。難しい市場だと感じた」(デザイナーのNaravoot Thanyanara氏・写真左上)という。 ●http://wakingbee.com/

NOVA「Lasquall」(韓国)

 2015年に本格スタートした「Lasquall」は、シンプルなデザインと鮮やかなカラーリングが特徴のビーチウエア。米LAにあるベニスビーチのムードをイメージソースとしており、ブランド名は、そのビーチに集まるアーティストたちなどの呼び名“Lasquall”から付けた。UV対策やウォータープルーフなど機能性の高い素材も強みで、主力アイテムはサーフィンなどで着用するラッシャガード(約5万ウォン)。韓国でもアスレジャーブームが盛り上がっており、セールスも好調。セカンドラインとしてアスレジャーウエア「LSQA」(5万~20万ウォン)も揃える。「タウンウエアとしても着用できるよう、さまざまなシーンを想定したスタイリングも提案している」とデザイナー兼CEOのクリス・ユン氏(写真左上)。現在はオンラインショップのほか、百貨店や免税店、いくつかのセレクトショップなどで販売を行っている。  今回が初の海外出展。香港や中国をターゲットに参加したが、タイやニュージーランドのバイヤーから引き合いがあったほか、ブルネイの企業との商談も決定している。「OEMのオファーは多く受けるが、デザイナーによるハウスブランドなので、そこはオリジナルにこだわりたい」とユン氏。日本への進出にも強く興味があるという。 ●http://lasquall.com/

Acumen「Re:echo」(香港)

 1994年の設立以来、欧米の有力アウトドアブランドの販売代理、ダウンウエアを中心としたOEM生産を行ってきたAcumen社が、2007年に立ち上げたオリジナルのアウトドアブランドが「Re:echo」だ。ダウンコートや寝袋、ウィンドブレイカー、フリースウエア、アウトドア用品などをそろえ、自社ブランドをアピール。香港で同見本市への出展は初めてだったが、中国のバイヤー2社からOEM生産の提案があった。世界的なスポーツウエアの高まりに手応えを感じている。 ●http://www.reecho.hk/zh/

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