Google、Chrome Canaryでポスト量子暗号を実験
2016年7月16日 21:37
あるAnonymous Coward 曰く、 Googleは7日、デベロッパー版のChrome Canaryに「ポスト量子暗号」の暗号技術を搭載したことを発表した(日経コンピュータDigitalの記事、TechCrunch Japanの記事)。 ポスト量子化暗号が使われるのは、Chrome CanaryとGoogleドメインとの通信の一部だ。TLSなどで使われる公開鍵暗号を復号するには、鍵を取り出すために大きな数を因数分解する必要がある。現在のコンピューターでは非常に長い時間がかかるため公開鍵暗号は安全とされているが、量子ゲート方式の量子コンピューターが実現すると、妥当な時間内で鍵を取得できてしまう可能性がある。そのため、量子コンピューターでも破れない暗号として開発が進められているのがポスト量子暗号だ。Chrome Canaryでは実験にあたり、「New Hope」アルゴリズムを選択している。
Googleによれば、実験は現在の暗号化された通信を記録し、大規模な量子コンピューターが実現した際に復号するといった問題を想定したものだという。現在の量子コンピューターは小規模で実験的なものだが、情報の中には数十年にわたって機密扱いとなるものもあるため、将来を見据えた準備が必要とのこと。Chrome CanaryとGoogleのサーバーとの通信で既存の楕円曲線暗号に加えてポスト量子暗号を用いることで、現在のコンピューターでポスト量子暗号が破られることがあっても、通信のセキュリティを犠牲にすることなく実験が行えるとのことだ。なお、GoogleではNew Hopeをデファクトスタンダードにするつもりはなく、よりよいアルゴリズムに置き換える形で2年以内に実験を終える計画だという。
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