【犬丸正寛の相場展望】7月末~8月上旬がポイント、景気対策揃い踏みとなるかどうか、足元は売方の買い戻し続く

2016年7月15日 12:51

 参議院選挙明けの相場は選挙結果を好感する強い展開だった。日経平均は、英国EU離脱ショック安となった直前の6月24日水準を奪回した。この間、米国の雇用の好調と日本の参議院選挙での現政権圧勝があった。米国景気の堅調が世界経済に安心感をもたらし、とくに、参議院選挙での争点だったアベノミクスに対し国民が継続推進に信任と期待を明確としたことで、相場的にはアベノミクス第2章がスターといえる展開だ。

 NYダウはオバマ政権の経済対策成果で世界経済不振の中で好調が光る。これに、アベノミクスが加速すれば日米で世界経済をリードする姿が鮮明となり、経済の姿を映す鏡であるNYダウと日経平均が上値を伸ばすことはもっともであろう。NYダウについては、短期急伸に対する警戒と11月の新大統領がどのようなカジ取りをするかという心配があるため、さらに1本調子の上値追いは難しそうだが、基調は強く、空売りより押し目買い優勢の相場展開だろう。

 一方の日経平均についても短期的には急伸に対する警戒感で調整安は予想されるが、今回の選挙勝利と日経平均急伸で投資家心理は大きく好転している。中期投資家がこれまでの様子見姿勢から押し目買い姿勢を強めてくるものとみられる。とくに、このところ40%前後に達していた空売り比率が、売方の買戻しで縮小に向かうものとみられ、日経平均押し上げにつながるだろう。

 今後の相場の見所は、「7月末~8月上旬」だろう。28日~29日には日銀の金融政策決定会合、31日には東京都知事選挙、8月頭には臨時国会で総合経済対策が予定されている。景気対策は、復興支援、オリンピック、子育て支援、量的緩和などが総合的に織込まれるものとみられる。とくに、仮に、新しい都知事に増田寛也氏が選ばれるなら、オリンピック関連、待機児童解消政策から関連銘柄が注目されそうだ。

 ただ、景気対策が期待外れの場合の相場は足元の景気と企業業績が厳しい状況だけに反落の可能性が強まるだろう。とくに、空売りの買い戻しが一巡すれば、相場押し上げ要因がなくなる。政府と一体となって日銀が金融政策実行に踏み出すかどうかがポイントだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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