教職員の主義主張を押し付けず、主権者意識を涵養していく取り組みが必要―馳浩文部科学相
2016年7月14日 10:16
馳浩文部科学大臣は12日の記者会見で自民党が参院選挙期間中に党HPで行った『学校教育における政治的中立性についての実態調査』についての受け止めを記者団に聞かれ「自民党としては実態が分からないので、さて、どうしたものかということで(行った)一案だと受け止めている」と答えた。
当初のHP呼び掛けでは「教育現場の中には『子供たちを戦場に送るな』と主張し、中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です」と記されていたことなどへの受け止めに対する質問には、個別の内容の質問は記者会見では答えられないとして回答を避けた。
自民党の実態調査には「政権与党が国民に『密告』を奨励するような実態調査をすることは教育基本法にある教育への不当介入そのもの」(全日本教職員組合・小畑雅子書記長)との批判やネット上でも「密告フォーム」と強い批判が多数上がっていた。
馳大臣は「教育基本法に規定されているように教育現場では政治的中立を守って頂きたい。予備知識のない高校生諸君に、より多くの情報は提供した方が良いと思っている。同時に、自民党が良いとか、悪いとか、馳候補者が良いとか、悪いとかの話は、政治的中立からは逸脱した話になる」と例示して、中立をあげた。
また、馳大臣は、例えばとして「給付型奨学金についてどの政党がどういう主張をしているか、なぜ今、給付型奨学金が求められているのか、これには公的資金・税金が投入される、意見を示したうえで、政党、候補者の主張があるが、みなさんで考えてみてください、ということであれば政治的中立に配慮したことになる」とした。
馳大臣は「先生に思い入れが有りすぎ、これが良い、悪いとまで言うのは、やめた方が良い。教職員の偏った一方的な主義主張を押し付けるのではなく、政治的中立を守りながら、子どもたちに主権者としての意識を涵養していく取り組みが必要と思う」と答えた。
教職員にも当然、国民として政治活動の自由に関する権利が保障されている。ただし、教職員であることの地位を利用した政治活動は禁止されている。文科省が6月に出した通知で「だから私は一度も選挙に行ったことはない、と胸を張って職員に言う校長がいる。私たちは選挙に行ってもいいのですか、という教員もいる」などの事態も出ているという。
このため、教職員組合では「教職員がしてはいけない選挙運動を例示すべき」と明確なガイドラインを示すよう求めている。(編集担当:森高龍二)