団地の高齢化・孤立化、自治体や企業の支援策

2016年7月12日 08:26

 団地居住者の高齢化や孤立化が進む中、支援を打ち出す企業や自治体が増えている。7月5日、UR都市機構はセブン-イレブン・ジャパン<3382>、ファミリーマート<8028>、ローソン<2651>と連携協定を締結。UR都市機構が管理する首都圏や近畿圏を中心とするUR団地の空き店舗にコンビニを出店するとした。

 品揃えは高齢者が好む食品や日用品を増やし、買い物代行や室内の掃除・修理サービスも受け付けるという。店舗によっては、住民交流会としてラジオ体操などを企画し、店内のイートインスペースを集会に使えるようにする。団地の管理人が不在になる土日や夜間には、店員が緊急時の窓口になることも検討するとした。

 また、大阪府100%出資の公的団体・大阪府住宅供給公社は、堺市南区の泉北ニュータウンにある茶山台団地にて、団地再生に向けたモデル的なプロジェクトを推進している。

 茶山台地域では最寄りの食品スーパーが撤退して以来、買い物に不便しているとの意見が入居者から上がっていた。これを受け、高齢者などの買い物弱者のために移動販売事業者の誘致に取り組み、今年5月から毎週土曜日に、泉北ニュータウンで実績のある移動販売事業者による青果市を団地の集会所前で開催しているという。

 愛知県も、高齢者が生活しにくい団地の実情をかねてから問題視していた。全国に先駆けて2014年度から「地域包括ケアモデル事業」を実施し、今年3月には「地域包括ケア団地モデル構想」をとりまとめたと発表した。

 1965年頃から建設された大規模な団地では、当初から入居している人たちが高齢化、孤立化している。モデル構想の対象地域は、石尾台地区および高森台地区の春日井市高蔵寺ニュータウンで、団地内に医療・介護事業や相談室などが集まった地域包括ケアの拠点をつくり、サービスを連携して提供するなどを目指すべき団地モデルとした。

 高齢化が加速する中、対策は急務である。ビジネスチャンスも広がり、雇用が増えれば地域の活性化にも繋がりそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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